特定求職者雇用開発助成金とは|対象者と支給額をわかりやすく解説
公開日: 2026.10.10
特定求職者雇用開発助成金とは|対象になる求職者と4コースの全体像
特定求職者雇用開発助成金とは、高年齢者や障害者、母子家庭の母等、生活保護受給者など、就職が難しい状況にある求職者をハローワーク等の紹介で雇い入れた事業主に対して、賃金の一部を一定期間助成する制度です。昭和56年度から続く、国の雇用関係助成金の中でも運用期間が長い制度のひとつです。 令和8年度は、特定就職困難者コース・中高年層安定雇用支援コース・発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース・生活保護受給者等雇用開発コースの4コースで構成されています。以前あった成長分野等人材確保・育成コースは令和7年度限りで廃止されました。この記事では、最も利用の多い特定就職困難者コースを中心に、対象者・支給額・申請の前提条件を解説します。
特定就職困難者コースの対象労働者
特定就職困難者コースの対象になるのは、高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等、重度障害者等を除く身体・知的障害者、重度障害者等(重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者、精神障害者)、週20〜30時間未満の短時間労働者を含む身体・知的・精神障害者などです。補完的保護対象者やウクライナ避難民、65歳以上の方も対象に含まれます。 > 令和8年5月1日以降は、ハローワーク等において就労に向けた個別支援を受けている60歳以上の高年齢者も、新たに対象労働者として追加されました。具体的にどのような支援を受けていれば該当するかは公式リーフレットに記載があるため、採用前に管轄のハローワークで確認しておくと安心です。
支給額はいくらか|区分・企業規模・短時間労働者別の金額
特定就職困難者コースの支給額は、対象労働者の区分と企業規模によって変わります。短時間労働者以外の場合、中小企業事業主が受け取れる額(括弧内は中小企業事業主以外)は、高年齢者・母子家庭の母等が60万円(50万円)、重度障害者等を除く身体・知的障害者が120万円(50万円)、重度障害者等が240万円(100万円)です。 短時間労働者の場合は、高年齢者・母子家庭の母等が40万円(30万円)、重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者が80万円(30万円)になります。助成対象期間は区分により1〜3年で、重度障害者等が最も長く、最も支給額が高くなります。
支給の仕組み|6か月ごとの支給対象期と賃金上限
支給額は、助成対象期間をいくつかの支給対象期(6か月ごと)に分けて、その都度支給されます。例えば高年齢者で助成対象期間1年・中小企業事業主の場合は、30万円ずつ2回に分けて支給される計算です。各支給対象期の支給額は、その期に対象労働者へ実際に支払った賃金額が上限になる点に注意してください。 💡最低賃金法の減額特例の許可を受けている場合は、支払賃金に一定の助成率(重度障害者等以外は1/3・中小企業以外1/4、重度障害者等は1/2・中小企業以外1/3)を掛けた額が支給対象期ごとの上限になります。支払った賃金額そのものではなく、助成率をかけた額が上限になる点を見落としやすいので確認しておきましょう。
申請の前提|ハローワーク経由の職業紹介が必須
この助成金を申請するには、原則としてハローワーク、または適正な運用を期せる民間の職業紹介事業者等から、『特定求職者雇用開発助成金の対象労働者であること』を明示した職業紹介を受けて雇い入れることが前提になります。すでに自社で働いている人や、職業紹介を受けた日に別の職場に在職中だった人を雇い入れた場合は、原則として対象になりません(重度障害者等の一部に例外があります)。 つまり、採用を決めてから助成金の対象かどうかを確認するのではなく、採用活動の入口であるハローワークへの相談・紹介依頼の段階から、対象労働者を想定して進める必要があるということです。
注意点|解雇した場合の3年間不支給と雇用継続の条件
対象労働者は、年齢が65歳に達するまで継続して雇用し、かつ雇用期間が2年以上継続することが前提とされています。有期雇用で採用する場合は、令和5年10月1日以降、雇用契約が自動更新であることが必要で、その旨を雇用契約書に記載しなければなりません。令和8年4月以降の申請では、賃金台帳の提出も必要です。 助成対象期間中に対象労働者を解雇等した場合、その事業所は以後3年間、この助成金を受け取れなくなります。支給対象期の途中で対象労働者を雇用しなくなった場合も、原則としてその期の支給は受けられません。長期の雇用継続を前提にした制度であることを踏まえて、採用計画を立てる必要があります。
特定就職困難者コース以外の3コースの概要
中高年層安定雇用支援コースは、就職氷河期世代を含む、不安定な就労状態にある中高年者を対象にしたコースです。発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースは、発達障害のある人や難治性疾患を抱える患者を雇い入れる場合に対象になります。生活保護受給者等雇用開発コースは、生活保護を受けている人や、生活に困窮している人を対象にしています。 これら3コースの対象労働者区分別の具体的な支給額は、特定就職困難者コースとは別に定められています。今回確認した一次情報の範囲には含まれていないため、本記事では数値を断定せず、該当するコースを検討する場合は厚生労働省の該当コースページまたは管轄のハローワークで確認することをおすすめします。
まとめ|対象区分を確認してから採用を進める
特定求職者雇用開発助成金は、就職が難しい状況にある求職者をハローワーク等の紹介で雇い入れた事業主に、6か月ごとの支給対象期に分けて賃金の一部を助成する制度です。特定就職困難者コースでは、対象労働者の区分と企業規模によって60万円から240万円までの支給額が設定されています。 一方で、ハローワーク経由の明示的な職業紹介、2年以上の雇用継続、解雇時の3年間不支給といった運用上の条件も細かく定められています。対象区分を確認せずに採用を進めると、助成金の対象から外れてしまうこともあるため、採用活動を始める前にハローワークへ相談しておくことが欠かせません。KANAEの検索からも、人材の採用・育成に関わる他の制度を確認できます。
参考情報
特定求職者雇用開発助成金|厚生労働省(コース一覧) — 公式情報を見る
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)|厚生労働省 — 公式情報を見る
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)のご案内|愛知労働局 — 公式情報を見る
自社に使える制度を探す
目的別・業種別に補助金・助成金を検索できます。