出生時両立支援コースとは|男性育休で20万〜60万円を助成
公開日: 2026.10.25
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)とは|男性の育休取得と取得率上昇を支援する両立支援等助成金の1コース
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)とは、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境整備や業務体制整備に取り組んだ事業主に対し、男性の育休取得または育休取得率の上昇という成果に応じて助成金を支給する、両立支援等助成金の1コースです。 支給パターンは次の2つに分かれます。 - [1]男性労働者の育児休業取得:雇用環境整備・業務体制整備に取り組み、子の出生後8週間以内(出生日当日を含む57日間)に開始する連続5日間以上の育児休業を取得した男性労働者が出た場合 - [2]男性労働者の育児休業取得率の上昇等:男性労働者の育児休業取得率が1事業年度で30ポイント以上上昇し、50%以上を達成した(または一定の場合に2年連続70%以上となった)場合 [1]の対象は中小企業事業主、[2]の対象は特定事業主です。どちらも『男性育休の助成金』とまとめて紹介されがちですが、対象になる事業主の規模基準も、支給額も、申請期限の数え方も異なります。まずは対象事業主の範囲から確認します。
対象になる事業主の範囲|「育休取得」は中小企業事業主、「取得率の上昇等」は特定事業主
[1]男性労働者の育児休業取得の対象は中小企業事業主、[2]男性労働者の育児休業取得率の上昇等の対象は特定事業主です。業種によって基準が異なります。 > 中小企業事業主:小売業(飲食店を含む)は資本金5,000万円以下または常時雇用労働者50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、その他の業種は3億円以下または300人以下 > 特定事業主:小売業は資本金5,000万円以下または常時雇用労働者300人以下、サービス業・卸売業・その他の業種はいずれも常時雇用労働者300人以下(資本金基準はサービス業5,000万円以下・卸売業1億円以下・その他3億円以下) 💡 資本金と従業員数は「または」の関係です。どちらか一方の基準を満たせば対象になります。資本金等を持たない事業主は、常時雇用する労働者の数だけで判定します。
支給額①男性労働者の育児休業取得|1人目20万円、雇用環境整備4つ以上なら30万円
[1]男性労働者の育児休業取得の支給額は、対象になった労働者が何人目かによって決まります。 > 1人目:20万円(雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合は30万円) > 2人目・3人目:各10万円 同一事業主について支給されるのは3人目までです。育児休業の開始日ではなく終了日を基準に申請するため、『1人目で申請してから2人目が出たら』という順序で、複数の男性労働者の育休取得をそれぞれ別の申請として積み上げていくイメージです。
支給額②男性労働者の育児休業取得率の上昇等|60万円とプラチナくるみん加算15万円
[2]男性労働者の育児休業取得率の上昇等は、申請年度の前年度を基準として育児休業取得率が30ポイント以上上昇し、50%以上となった場合などに60万円が支給されます。 💡 「30ポイント以上上昇」とは、例えば前事業年度の取得率が40%であれば70%以上に上昇した場合を指します。 この60万円に加えて、次の2つの加算があります。 - プラチナくるみん加算:申請時にプラチナくるみん認定事業主であれば15万円を加算 - 育児休業等に関する情報公表加算:『両立支援のひろば』等で申請前事業年度の男性・女性労働者の育児休業取得率や平均取得日数などの情報を公表していることなどを条件に2万円を加算([1][2]いずれか1回限り) [2]の支給は同一事業主について1回限りです。また、[2]を受給した後に[1]の申請を行うことはできないため、どちらを先に目指すかは順序も含めて検討しておく必要があります。
支給要件|雇用環境整備の措置と業務体制整備の規定、一般事業主行動計画の届出
[1]男性労働者の育児休業取得には、主に次の6つの要件があります。 1. 育児・介護休業法等に定める雇用環境整備の措置を、必要な数実施していること 2. 育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定等を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること 3. 男性労働者が、子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得すること 4. 育児休業制度などを労働協約または就業規則に定めていること 5. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局へ届けていること(プラチナくるみん認定事業主は届出がなくても対象) 6. 対象の男性労働者を育児休業の開始日から支給申請日までの間、雇用保険被保険者として継続して雇用していること 💡 要件1・4、および要件2の規定策定は、要件3の育児休業の開始日の前日までに済ませておく必要があります。休業が始まってから慌てて整備するのでは間に合いません。
雇用環境整備は何個必要か|対象人数と産後パパ育休の申出期限で変わる実施数
雇用環境整備として実施が必要な措置の数は、助成金の対象人数(1〜3人目)と、自社の産後パパ育休の申出期限によって変わります。 > 申出期限が休業開始予定日の2週間前まで:1人目2つ以上/2人目3つ以上/3人目4つ以上 > 申出期限が2週間前より長い(1か月前・3週間前など):1人目3つ以上/2人目4つ以上/3人目5つ(全て) 4つ以上実施した場合は支給額が加算される(1人目20万円が30万円になる)ことも、このマトリクスと関係しています。 措置は、次の5項目から必要な数を選びます。 - 雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施 - 育児休業に関する相談体制の整備 - 雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及び提供 - 雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び取得促進に関する方針の周知 - 育児休業申出をした労働者の育児休業取得が円滑に行われるようにするための業務の配分又は人員の配置に係る必要な措置
育休日数の要件|1人目5日・2人目10日・3人目14日、連続取得が必須
[1]で対象となる育児休業には、助成金の対象人数ごとに必要な日数の基準があります。 > 1人目:連続5日以上(うち4日以上が所定労働日) > 2人目:連続10日以上(うち8日以上) > 3人目:連続14日以上(うち11日以上) 産後パパ育休を複数回に分割して取得した場合でも、この基準日数を連続して取得している期間がなければ対象になりません。分割した育休を合計して日数を満たす、という扱いはできない点に注意が必要です。 なお、同一労働者の同一の育児休業について、育児休業等支援コース(育休取得時・職場復帰時)との併給はできません。
申請期限と手続きの流れ|育休終了日翌日から2か月、取得率上昇等は翌事業年度開始日から6か月
申請期限の起算点は、[1]と[2]で異なります。 > [1]男性労働者の育児休業取得:育児休業の終了日の翌日から起算して2か月以内 > [2]男性労働者の育児休業取得率の上昇等:取得率が上昇等した事業年度の翌事業年度の開始日から起算して6か月以内 申請先は、申請事業主の本社等(人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所)の所在地にある労働局雇用環境・均等部(室)です。郵送で申請する場合、消印の日付が申請期間内でも、労働局への到達日が期限を過ぎていれば受け付けられません(期限内必着)。 [2]の『育児休業取得率』は、ある事業年度に配偶者が出産した男性労働者数に対する、その事業年度に育児休業を取得した男性労働者数の割合で算出します。この事業年度は国の会計年度(4月〜翌3月)ではなく、各事業主の会計年度を指すため、自社の決算期を基準に取得率を追う必要があります。
まとめ|どちらのパターンを目指すか、申請前に確認したいこと
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)は、男性労働者の育児休業取得に対して1人目20万円(条件により30万円)から、育児休業取得率の上昇等に対して60万円まで、取り組みの段階に応じて助成される制度です。プラチナくるみん加算や情報公表加算を組み合わせれば、さらに上積みできます。 どちらのパターンを目指すとしても、雇用環境整備の措置や業務体制整備の規定は、対象になる育児休業が始まる前日までに整えておく必要があります。自社が中小企業事業主と特定事業主のどちらの基準に当たるか、必要な雇用環境整備の数はいくつかを先に確認してから、取り組みのスケジュールを組むのがおすすめです。 男性育休の環境整備だけに目を向けると、両立支援等助成金の他コースや、人材確保・人材育成に使える関連の助成金との組み合わせを見落とすこともあります。/browse.htmlで目的や業種から関連する補助金・助成金もあわせて確認しておきたいところです。
参考情報
両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026(令和8)年度版)|厚生労働省 — 公式情報を見る
両立支援等助成金|厚生労働省 — 公式情報を見る
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