障害者正社員化コースとは|支給額と対象者の条件を解説
公開日: 2026.10.14
障害者正社員化コースとは|障害者の職場定着を目的とした転換支援
障害者正社員化コースとは、障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等(勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員を含む)または無期雇用労働者へ転換した事業主に対して助成する、キャリアアップ助成金のコースのひとつです。より安定度の高い雇用形態への転換を通じて、障害のある労働者の職場定着を図ることを目的に設けられています。 現在のキャリアアップ助成金は、正社員化コース・障害者正社員化コースからなる正社員化支援と、賃金規定等改定コース・賃金規定等共通化コース・賞与や退職金制度導入コース・短時間労働者労働時間延長支援コースからなる処遇改善支援をあわせた6コースで構成されています。障害者正社員化コースは、障害のある従業員を雇用する事業所であれば幅広く検討できるコースです。
支給額|障害の程度と転換パターンで異なる3段階の金額
支給額は、対象労働者の障害の程度と、どの雇用形態からどの雇用形態へ転換するかによって変わります。 重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者を対象とする場合、有期雇用から正規雇用への転換で支給総額120万円(大企業は90万円)、有期雇用から無期雇用への転換で60万円(大企業45万円)、無期雇用から正規雇用への転換で60万円(大企業45万円)です。 重度以外の身体障害者・重度以外の知的障害者・発達障害者・難病患者・高次脳機能障害と診断された者を対象とする場合は、有期雇用から正規雇用への転換で90万円(大企業67.5万円)、有期雇用から無期雇用への転換で45万円(大企業33万円)、無期雇用から正規雇用への転換で45万円(大企業33万円)となります。 💡『障害者正社員化コースは最大120万円』という紹介だけを見ると、どの転換でもその金額が出るように感じてしまいますが、実際は障害の程度によって90万円・60万円・45万円などに分かれています。対象者の障害の程度と、転換前後の雇用形態を先に確認しておくと、見積もり違いを防げます。
支給の仕組み|1年間を第1期・第2期に分けて半額ずつ支給
支給総額は、1回でまとめて支払われるわけではありません。支給対象期間は1年間で、最初の6か月を第1期、次の6か月を第2期として、支給総額をおおむね半分ずつに分けて2回支給する仕組みになっています。 例えば、中小企業が重度障害者等を有期雇用から正規雇用へ転換した場合、第1期60万円・第2期60万円の合計120万円です。重度以外の障害者等を有期雇用から正規雇用へ転換した中小企業の場合は、第1期45万円・第2期45万円の合計90万円となります(大企業の場合、第1期33.5万円・第2期34万円の合計67.5万円という内訳です)。 なお、この支給額が各支給対象期における対象労働者への賃金の総額を超える場合は、その賃金総額が上限になります。転換後の給与水準が低いケースでは、表に示された金額どおりに受け取れない場合がある点に注意が必要です。
対象となる労働者・事業主の要件|確認しておきたいポイント
対象労働者には、11項目の要件がすべて定められています。特に実務で確認が必要になりやすいのは次の点です。 - 転換を行った日の時点で、身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者・難病患者・高次脳機能障害者のいずれかに該当すること - 就労継続支援A型事業の利用者でないこと - 賃金の額または計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等の適用を、通算6か月以上受けて雇用されている有期雇用労働者または無期雇用労働者であること - 正規雇用労働者または無期雇用労働者として雇用されることを約束されて雇い入れられた者でないこと 対象事業主にも11項目の要件があり、対象労働者を各支給対象期の初日から6か月以上継続して雇用し、各支給対象期分の賃金を支給していること、転換後6か月間の賃金を転換前6か月間の賃金より減額させていないことなどが基本となります。 📝この助成金における「中小企業」の範囲は業種で異なり、小売業(飲食店含む)は資本金5,000万円以下または常時雇用労働者50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、その他の業種は3億円以下または300人以下です。自社がどの区分に当たるかを先に確認しておくと、支給額の見積もりがスムーズになります。
申請手続きの流れ|キャリアアップ計画書の提出から支給申請まで
助成金を受けるには、障害者正社員化コースの実施日の前日までに「キャリアアップ計画書」を作成し、管轄の労働局へ提出する必要があります。計画期間は3年以上5年以内で設定します。コース実施日の前日が行政機関の休日に当たる場合は、その休日の翌日までの提出で構いません。 計画書の提出後に対象労働者を正社員等へ転換し、転換後6か月分の賃金を支払った日の翌日から起算して2か月以内に、第1期の支給申請を行います。第2期についても、同じように支給対象期分の賃金支払い後2か月以内に申請します。第1期で不支給決定を受けた場合、第2期の支給申請はできません。 また、65歳超継続雇用推進助成金(高年齢者無期転換コース)の支給を受けた事業主は、同一の対象労働者について障害者正社員化コースを受けられません。特定求職者雇用開発助成金や人材確保等支援助成金など一部の助成金についても、同一労働者に関する併給調整があるため、他の助成金を申請中または受給済みの場合は、先に併給の可否を確認しておくことをおすすめします。
まとめ|申請前に確認しておきたい注意点
障害者正社員化コースは、障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等や無期雇用労働者に転換した事業主に対し、障害の程度と転換パターンに応じて最大120万円を、第1期・第2期の2回に分けて支給する制度です。ただし、支給額は一律ではなく、障害の程度・転換パターン・企業規模によって3段階以上に分かれているため、対象者ごとに当てはまる区分を事前に整理しておくことが欠かせません。 キャリアアップ計画書の提出は転換の前が原則であり、先に正社員等へ転換してしまうと対象外になることがあります。他の雇用関連の助成金との併給調整もあるため、自社に適用できるかどうかは早めに確認しておくと安心です。KANAEの検索では、目的や業種から障害者正社員化コース以外の補助金・助成金もあわせて確認できます。
参考情報
キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)|厚生労働省 — 公式情報を見る
キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内(令和8年4月1日時点版パンフレット)|厚生労働省 — 公式情報を見る
キャリアアップ助成金|厚生労働省 — 公式情報を見る
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