産業雇用安定助成金とは|スキルアップ支援コースの支給額と対象条件を解説

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産業雇用安定助成金とは|スキルアップ支援コースの位置づけと基本の考え方

産業雇用安定助成金は、現在「産業連携人材確保等支援コース」「スキルアップ支援コース」「災害特例人材確保支援コース」の3コースで構成されている、厚生労働省の雇用関係助成金です。このうちスキルアップ支援コースは、自社にはない実践の場で経験を積ませることを目的に、労働者を在籍型出向で他社に送り出し、出向から復帰した際の賃金を出向前より上昇させた場合に、労働者を送り出す出向元事業主と受け入れる出向先事業主の双方に対して助成するコースです。 複数の民間サイトが、このコースを公式には使われなくなった「在籍型出向支援コース」という通称のまま紹介しています。名称が変わったわけではなく、在籍型出向を使った複数の支援策を整理する中で、スキルアップを目的とする出向を支援する部分が「スキルアップ支援コース」という現行名称で案内されている、と理解しておくとわかりやすくなります。古い助成額のまま紹介している記事も見られるため、数字を確認する際は厚生労働省の公式ページで時点を確認することが重要です。

対象になる事業主の条件|出向元事業主と出向先事業主それぞれの要件

出向元事業主は、どの時点の出向計画届であっても支給対象になり得ます。一方、出向先事業主が支給対象になるのは、令和8年4月8日以降に出向計画届を提出した場合に限られます。それより前(令和8年4月7日以前)に提出された計画届では、出向元事業主のみが対象でした。 また、資本関係や役員構成からみて出向元事業主と出向先事業主の独立性が認められない場合、たとえば親会社・子会社の関係にある場合や、代表取締役が同一人物である場合などは、企業グループ内出向とみなされ支給対象外となります。 出向元事業主には、ほかにも、出向終了日の翌日から6か月を超えて対象労働者を継続雇用していること、出向開始日の前日から6か月前の日から支給申請書の提出日までの間(基準期間)に雇用保険被保険者を事業主都合で解雇等していないことなどの要件があります。出向先事業主には、雇用保険被保険者数などで測る雇用指標が、直近3か月平均で前年同期と比べて5%を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)減少していないという雇用量要件があります。自社の出向計画がこれらの要件に抵触しないか、計画届を出す前に確認しておく必要があります。

支給額|助成率と1人1日9,110円の上限、1事業所年度1,000万円の上限

助成額は、出向労働者の賃金のうち出向元事業主・出向先事業主それぞれが負担した額に、助成率(中小企業事業主2/3、中小企業以外の事業主1/2)を乗じて求めます。ただし、その額が1人1日あたりの上限を超える場合は上限額で頭打ちになります。 💡 1人1日あたりの上限は、雇用保険の基本手当日額の最高額に連動して毎年8月に改定される仕組みで、令和8年8月1日時点では9,110円です。これが「助成額は一律9,110円」という意味ではなく、あくまで助成率を乗じて求めた額がこの上限を超えないよう按分されるしくみである点に注意してください。 このほか、1事業所・1年度あたりの支給額合計は1,000万円が上限で、同一の出向元事業主に雇用された同一の労働者への支給は1回までとされています。

出向期間と復帰後賃金5%上昇の要件|賃金上昇確認期間とは

出向先事業所における出向労働者ごとの出向期間は、1か月以上2年以内で、出向終了後に出向元事業所へ復帰する予定であることが前提です。出向中の賃金についても、出向前に労働日に通常支払われていた賃金の額以上を支払う必要があり、合理的な理由なく出向開始前6か月間の賃金を引き下げている場合は、この要件を満たさないものとして扱われます。 本コースの核心は、復帰後の賃金上昇要件です。対象労働者が出向から復帰して初めて到来する賃金支払日(出向中の賃金が含まれる場合は、それが含まれなくなる最初の賃金支払日)の属する月以降6か月間を「賃金上昇確認期間」と呼び、この期間の各月に支払われる毎月決まって支払われる賃金を、出向開始日の属する月の前月に支払われた賃金と比較して、いずれの月も5%以上上昇させている必要があります。賃金を一度上昇させたあとに合理的な理由なく引き下げたり、諸手当を減らして基本給だけを上げたりする運用は、賃金を上昇させたものとは認められません。

申請までの流れと期限|出向計画届は出向開始前日まで、支給申請は復帰後2か月以内

スキルアップ支援コースの標準的な流れは、次のとおりです。 1. 出向元事業主が、出向開始基準日の前日までに、出向先事業所別調書・スキルアップ計画などの添付書類とあわせて「出向計画届」を管轄労働局長へ提出する 2. 出向協定書・出向契約書等にもとづき出向を実施し、出向中は出向前以上の賃金を支払う 3. 出向終了後、対象労働者を出向元事業所へ復帰させる 4. 復帰後の賃金上昇確認期間(6か月間)の各月の賃金を確認する 5. 賃金上昇確認期間の最後の賃金支払日の翌日から起算して2か月以内に、労働組合等・出向先事業主の確認を得たうえで支給申請を行う > 出向先事業所別調書に記載できる対象労働者は、出向開始日が出向計画届の提出日から起算して3か月以内であり、かつ出向終了日が出向開始日の最も遅い者の出向開始日から起算して12か月(審査対象期間)以内の者に限られます。出向開始が先になりすぎる計画や、出向期間が長すぎる計画は、この範囲に収まるよう調整しておく必要があります。天災その他やむを得ない理由で期限までに提出できなかった場合は、その理由がやんだ後1か月以内の提出が認められています。

産業雇用安定助成金のほかの2コース|産業連携人材確保等支援コース・災害特例人材確保支援コース

スキルアップ支援コース以外の2コースは、想定する場面がはっきり異なります。 「産業連携人材確保等支援コース」は、事業再構築補助金またはものづくり補助金の採択・交付決定を受けた事業主が、活動指標(生産量・販売量・売上高等)が前年同期比10%以上低下した状態で、その補助事業にもとづき新たに無期雇用の一般被保険者等を雇い入れた場合に助成するコースです。支給額は、中小企業事業主が対象労働者1人につき上限250万円(6か月ごとに125万円を2期)、中小企業以外が上限180万円(6か月ごとに90万円を2期)で、1事業主につき対象労働者5人が上限です。各期の支給には、その期に支払った賃金の合計が175万円以上であることなどの要件があります。 「災害特例人材確保支援コース」は、令和6年能登半島地震に伴う経済上の理由で事業活動を一時的に縮小せざるを得ない事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を確保する場合を支援するコースです。対象となる事業主の具体的な要件や助成額は、このコース専用の公式ページで個別に確認する必要があります。 自社の状況が、人材のスキルアップを目的とした出向(スキルアップ支援コース)なのか、補助金採択後の新規雇入れ(産業連携人材確保等支援コース)なのか、災害による事業縮小への対応(災害特例人材確保支援コース)なのかによって、確認すべきコースが変わります。

まとめ|スキルアップ支援コースを知り、ほかの制度もKANAEで探す

スキルアップ支援コースは、在籍型出向により労働者のスキルアップを図り、復帰後の賃金を出向前より5%以上上昇させた場合に、出向元・出向先の双方の事業主へ、助成率(中小企業2/3・中小企業以外1/2)に応じた額を1人1日上限9,110円(令和8年8月1日時点)まで助成する制度です。出向計画届は出向開始基準日の前日までに、支給申請は賃金上昇確認期間の最後の賃金支払日の翌日から2か月以内に、それぞれ期限内に提出する必要があります。 出向計画の設計や賃金上昇の算定を自己判断だけで進めると、要件を満たせていないまま出向を開始してしまうことがあります。計画届を提出する前に、管轄の労働局・ハローワークや社会保険労務士に相談しておくと安心です。雇用の維持やスキルアップに関する助成金は、産業雇用安定助成金以外にも複数存在します。他の制度もあわせて確認したい場合は、KANAEの検索で目的や業種から探してみてください。

参考情報

産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)|厚生労働省 — 公式情報を見る

産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)の取扱いについて(支給要領)(令和8年4月8日)|厚生労働省 — 公式情報を見る

産業雇用安定助成金|福岡労働局(厚生労働省) — 公式情報を見る

産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)|厚生労働省 — 公式情報を見る

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