産業雇用安定助成金とは|災害特例人材確保支援コースの対象と延長を解説

Xでシェア LINEで送る

産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)とは|能登半島地震と在籍型出向による雇用維持

産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)は、令和6年能登半島地震の影響で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を他社へ在籍型出向させることで雇用を維持する場合に、出向元事業主と出向先事業主の双方へ、出向期間中の賃金の一部を助成する厚生労働省の制度です。令和6年12月17日に創設されました。 産業雇用安定助成金には、このほかに「産業連携人材確保等支援コース」「スキルアップ支援コース」があり、現在3コース構成になっています。災害特例人材確保支援コースは、地震による事業縮小という特定の状況に限って用意された、期間限定の特例コースという位置づけです。期間限定であるために、創設後も対象期間の延長が繰り返されており、紹介記事によって対象期間の記載が食い違っていることがあるため、本記事では最新の公式ページの内容にもとづいて整理します。

対象になる事業主と労働者|出向元は石川県内の指定9市町、出向先は全国

出向元事業主として対象になるのは、石川県の七尾市・中能登町・羽咋市・志賀町・宝達志水町・輪島市・穴水町・珠洲市・能登町のいずれかに所在する、雇用保険適用事業所の事業主です。一方、出向先事業主には地域の制限がなく、全国の雇用保険適用事業所の事業主が対象になります。出向元は能登地域に限られるが、出向先はどこの都道府県の企業でもよい、という非対称な条件になっている点に注意してください。 対象労働者は、出向元事業所に雇用される雇用保険被保険者で、出向開始日の前日まで引き続き雇用保険被保険者であった期間が6か月以上あることなどが必要です。解雇予告を受けた人・退職願を提出した人・退職勧奨に応じた人(いずれも、安定した職業に就くことが明らかな人は除きます)、日雇労働被保険者、特例高年齢被保険者などは対象から除かれます。

支給額|助成率4/5・2/3と1人1日9,110円の上限

助成額は、出向中の賃金のうち出向元事業主・出向先事業主それぞれが負担した額に、助成率を乗じて求めます。助成率は中小企業事業主が4/5、中小企業以外の事業主が2/3で、産業雇用安定助成金の他コースと比べても高めに設定されています。 💡 出向元・出向先の合計で、1人1日あたりの助成額には上限があります。令和8年8月1日時点の上限額は9,110円で、これは雇用保険の基本手当日額の最高額に連動し、毎年8月に改定される仕組みです。助成率を乗じた額がこの上限を超える場合は、上限額までに按分されるため、『1日9,110円が必ず支給される』という意味ではありません。

対象となる出向期間|令和6年12月17日から令和8年12月31日まで、1か月以上2年以内

助成の対象になるのは、令和6年12月17日から令和8年12月31日までの間に開始された出向です。出向労働者ごとの出向期間は、1か月以上2年以内であることが必要です。 出向中の賃金の一部は、出向開始から最長2年まで支給されますが、助成対象期間そのものが令和8年12月31日までとされているため、出向期間がこの日を超える場合は、令和8年12月31日までの分だけが助成の対象になります。出向を計画する際は、出向の終了日が助成対象期間内に収まるかどうかを、開始前に確認しておく必要があります。

延長の経緯と令和9年12月末までの延長予定|最新の公表内容と確認すべきこと

本コースは、創設後も対象期間の延長が重ねられています。令和7年10月1日には支給申請書の自動入力様式が作成され、申請手続が簡素化されました。令和7年12月26日には、助成対象期間が令和8年12月31日まで延長されています。 > さらに令和8年9月25日のおしらせで、本コースを令和9年12月末まで延長する予定であることが公表されました。ただし、この時点では詳細は後日ホームページで更新予定とされており、延長後の助成率・上限額・対象となる出向開始期間が従来と同じ内容になるのかは、本稿作成時点では確定していません。令和9年以降の出向を計画している場合は、公式ページの更新を確認するか、管轄の労働局・ハローワークへ直接問い合わせることをおすすめします。

スキルアップ支援コースとの違い|賃金上昇要件の有無と助成率

同じ産業雇用安定助成金の中には、スキルアップ支援コースという、在籍型出向を使った別の支援策もあります。スキルアップ支援コースは、出向から復帰した労働者の賃金を出向前より5%以上上昇させることを要件とし、助成率は中小企業事業主2/3・中小企業以外1/2です。 これに対して災害特例人材確保支援コースには、復帰後の賃金上昇要件はありません。災害による事業活動の縮小に対応して雇用を維持すること自体が目的のコースであり、助成率も中小企業4/5・中小企業以外2/3とスキルアップ支援コースより高く設定されています。自社の出向が、能登半島地震による事業縮小への対応なのか、人材のスキルアップを目的としたものなのかによって、確認すべきコースが変わります。

まとめ|申請前に管轄労働局へ確認し、ほかの制度もKANAEで探す

産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)は、令和6年能登半島地震の影響を受けた石川県内の指定9市町の事業主が、在籍型出向で雇用を維持する場合に、出向元・出向先の双方へ助成率(中小企業4/5・中小企業以外2/3)に応じた額を1人1日上限9,110円まで助成する制度です。令和8年12月31日までの対象期間が、令和9年12月末までさらに延長される予定であることも公表されています。 本コースの支給対象となる出向を行うには、事前の計画届の提出が必要とされています。計画届や支給申請の具体的な提出期限は公式ページの本文だけでは確認できないため、出向を計画する段階で管轄の労働局・ハローワークに相談しておくと安心です。雇用の維持に関する助成金は、産業雇用安定助成金以外にも複数存在します。他の制度もあわせて確認したい場合は、KANAEの検索で目的や業種から探してみてください。

参考情報

産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)|厚生労働省 — 公式情報を見る

産業雇用安定助成金|福岡労働局(厚生労働省) — 公式情報を見る

自社に使える制度を探す

目的別・業種別に補助金・助成金を検索できます。