勤務間インターバル導入コースとは|最大150万円の上限額を解説
公開日: 2026.10.28
勤務間インターバル導入コースとは|休息時間を確保する環境整備を支援する制度
勤務間インターバル導入コースとは、勤務終了から次の勤務までの間に一定時間以上の「休息時間」を確保する勤務間インターバル制度の導入に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援する、働き方改革推進支援助成金の1コースです。勤務間インターバル制度は平成31年4月から導入が努力義務化されており、働く人の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図るための仕組みです。 このコースでは、労務管理用ソフトウェアの導入や外部専門家によるコンサルティングなど、制度導入に向けた具体的な取組(改善事業)にかかった経費の一部が助成されます。助成額は改善事業の経費をそのまま負担するものではなく、選んだ成果目標の達成状況に応じた上限額と、対象経費の合計額に補助率を乗じた額のいずれか低い方になります。まずは、どんな事業主が対象になるのかを確認していきましょう。
対象になる事業主の条件|業種別の資本金・従業員数基準と4つの要件
対象になる中小企業事業主には、主に次の4つの条件があります。 - 労働者災害補償保険の適用事業主であること - 36協定を締結しており、原則として過去2年間において月45時間を超える時間外労働の実態があること - 年5日の年次有給休暇の取得に向けて、年休管理簿や就業規則等を整備していること - 次のいずれかに該当する事業場を有すること(①勤務間インターバルを導入していない事業場/②休息時間9時間以上のインターバルを既に導入しているが、対象となる労働者が所属労働者の半数以下の事業場/③休息時間9時間未満のインターバルを既に導入している事業場) さらに、主たる事業の業種に応じて、資本金の額・出資の総額または常時使用する労働者の数のいずれかが次の基準を満たす必要があります。 > 卸売業:資本金1億円以下または常時使用労働者100人以下/小売業:資本金5,000万円以下または50人以下/サービス業:資本金5,000万円以下または100人以下/医療・福祉のうち病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院:常時使用労働者300人以下/その他の事業:資本金3億円以下または300人以下 💡 資本金と従業員数は「または」の関係です。どちらか一方の基準を満たせば対象になります。
助成の対象になる改善事業|研修からソフトウェア導入まで7区分
助成対象になる改善事業は、次の7区分です。 1. 労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するものや業務研修を含む) 2. 労働者に対する研修、周知・啓発 3. 外部専門家によるコンサルティング 4. 就業規則・労使協定等の整備 5. 人材確保に向けた取組 6. 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新 7. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 注意しておきたいのは、原則として乗用自動車、パソコン、タブレット、スマートフォンの導入・更新は対象外であることです。「パソコンを新調すれば助成対象になる」と考えて計画を立てると、申請段階で経費として認められない可能性があります。
3つの成果目標とその上限額|新規導入・適用範囲の拡大・時間延長
成果目標は、対象事業主の要件のうち自社がどの事業場要件に該当するかに応じて、次の3パターンから選びます。 - 新規導入(未導入の事業場が対象):新規に所属労働者の1/4を超える労働者を対象とする勤務間インターバルを導入すること - 適用範囲の拡大(休息時間9時間以上を一部導入済みの事業場が対象):対象労働者の範囲を拡大し、所属労働者の1/4または半数を超える労働者を対象とすること - 時間延長(休息時間9時間未満を導入済みの事業場が対象):所属労働者の1/4または半数を超える労働者を対象として休息時間数を2時間以上延長し、9時間以上とすること 助成上限額は、達成を目指す対象労働者の割合と、導入・延長する休息時間数の組み合わせによって、次のように変わります。 > 対象労働者が所属労働者の1/2超の場合:休息時間9時間以上11時間未満は100万円、11時間以上は150万円 > 対象労働者が所属労働者の1/4超1/2以下の場合:休息時間9時間以上11時間未満は50万円、11時間以上は75万円 『上限150万円』という金額だけを見て検討を始めると、それが対象労働者の割合を半数超まで広げ、かつ休息時間を11時間以上とした場合に限られる上限であることを見落としがちです。自社がどの成果目標パターンに該当し、どの区分の上限額を目指せるのかを先に確認しておくと、計画が立てやすくなります。
賃金引上げ加算・割増賃金率引上げ加算で上限額を上乗せする仕組み
成果目標の達成状況に加えて、任意で選べる加算制度が2種類あります。 まず賃金引上げ加算は、常時使用する労働者が30人を超える事業主が対象で、賃金を引き上げた人数と引上げ率に応じて加算額が決まります。 > 1〜3人:3%以上引上げで6万円/5%以上で24万円/7%以上で36万円。4〜6人:12万円/48万円/72万円。7〜10人:20万円/80万円/120万円。11〜30人は1人当たり単価(3%以上2万円・上限60万円、5%以上8万円・上限240万円、7%以上12万円・上限360万円)で計算します。 常時使用する労働者数が10人以上30人以下の場合は、上表の5%・7%以上引上げの加算額が2倍、10人未満の場合は2.5倍になります。 もう1つの割増賃金率引上げ加算は、月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5%以上引き上げると25万円、月45時間を超えて月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5割以上とし、かつ交付申請後から事業実施予定期間の終期までの期間に、いずれか1か月の時間外労働時間数を交付申請日の属する月を基準として労働者1人あたり10時間以上削減すると75万円が加算されます。
補助率と助成額の決まり方|3/4(条件により4/5)、上限額と対象経費のどちらか低い金額
実際の助成額は、次の2つの金額を比べて、低い方になります。 1. 選んだ成果目標の上限額に、賃金引上げ加算・割増賃金率引上げ加算の上限額を合計した金額 2. 助成対象経費の合計額に補助率を乗じた額 補助率は原則4分の3です。ただし、常時使用する労働者数が30人以下で、改善事業のうち⑥労務管理用ソフトウェア等の導入・更新または⑦労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新を実施し、その所要額が30万円を超える場合は、補助率が4分の5まで上がります。 > 例えば、成果目標を『適用範囲の拡大』で休息時間11時間以上まで広げた場合の上限額は75万円です。これに対象経費の合計額に補助率3/4を乗じた額が60万円であれば、低い方である60万円が助成額の目安になります。 上限額だけを見て満額を見込むのではなく、実際に支出する対象経費の見込み額もあわせて試算しておくことが大切です。
申請から支給までの流れと期限|交付申請は2026年11月30日まで
手続きは、次の順で進みます。 1. 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ交付申請書を提出する(電子申請システム「Jグランツ」からの申請も可能) 2. 交付決定を受けたら、提出した事業実施計画に沿って改善事業を実施する 3. 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ支給申請を行う 4. 審査を経て、助成額が支給される 期限は次のとおりです。 > 交付申請期限:令和8年11月30日(月)/事業実施:令和9年1月31日(日)まで/支給申請期限:事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後の日、または令和9年2月5日(金)のいずれか早い日 本助成金は国の予算額に制約されるため、11月30日より前に、予告なく受付を締め切る場合があります。不明点は、企業の所在地を管轄する働き方改革推進支援センターまたは都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談できます。
まとめ|どの成果目標を選べば自社に合うかを確認してから動く
勤務間インターバル導入コースは、休息時間を確保する環境整備に取り組む中小企業事業主に対し、選んだ成果目標と加算制度の上限額、対象経費に補助率を乗じた額のいずれか低い金額を助成する制度です。上限額は、対象労働者の割合(1/2超か1/4超1/2以下か)と休息時間数(9時間以上11時間未満か11時間以上か)の組み合わせによって50万〜150万円に分かれます。 交付申請の期限は令和8年11月30日ですが、予算の状況によっては前倒しで締め切られることもあるため、早めの検討がおすすめです。自社がどの対象事業主要件に該当し、どの成果目標パターンを選べば現実的に達成できそうかを先に整理してから、改善事業の計画を立ててください。勤務間インターバルの整備だけに目を向けると、人材確保や労働時間短縮など他の働き方改革関連の助成金との組み合わせを見落とすこともあるため、/browse.htmlで目的や業種から関連する補助金・助成金もあわせて確認しておきたいところです。
参考情報
令和8年度「働き方改革推進支援助成金」勤務間インターバル導入コースのご案内|厚生労働省 — 公式情報を見る
働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)|厚生労働省 — 公式情報を見る
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