受動喫煙防止対策助成金とは|喫煙専用室の設置費を補助率2/3・上限100万円で支援
公開日: 2026.10.23
受動喫煙防止対策助成金とは|喫煙専用室の設置・改修費を補助率2/3・上限100万円で支援
受動喫煙防止対策助成金とは、改正健康増進法が義務づける水準よりも望ましい受動喫煙防止対策として、喫煙専用室や指定たばこ専用喫煙室の設置・改修を行う中小企業の飲食店等に対し、厚生労働省がその経費の一部を補助する制度です。対象経費の補助率は3分の2ですが、喫煙専用室等を設置する事業場の主たる業種が日本標準産業分類上の飲食店以外である場合は2分の1になります。上限額は1事業場あたり100万円です。 令和8年度の申請受付は開始済みで、申請期日は事業実施年度の1月31日、つまり令和9年1月31日です。助成金の交付はその年度にあらかじめ決められた予算の範囲内で行われるため、申請額が予算に達した場合は期日より前に受付を締め切ることがあります。 喫煙専用室では紙巻たばこと加熱式たばこの両方を吸えますが、室内での飲食等はできません。一方、指定たばこ専用喫煙室は加熱式たばこ専用ですが、喫煙以外の目的(飲食等)でも利用できる点が異なります。
対象になる事業者|「既存特定飲食提供施設」の3つの条件
対象になるのは、次の3つをすべて満たす事業者です。 - 労働者災害補償保険の適用事業主であること - 中小企業事業者であること(業種によって、常時雇用する労働者数か資本金のいずれか一方を満たせばよい。小売業・飲食店・配達飲食サービス業は50人以下または5,000万円以下、物品賃貸業・宿泊業・娯楽業・医療福祉等のサービス業は100人以下または5,000万円以下、卸売業は100人以下または1億円以下、建設業・製造業・運輸業などその他の業種は300人以下または3億円以下) - 喫煙専用室等以外の、事業場の室内及びこれに準ずる環境を禁煙にすること 資本金等の定めのない個人経営や財団法人・協同組合などは、労働者数だけで中小企業事業者かどうかを判断します。 さらに、措置を講じる事業場自体が、改正健康増進法上の「既存特定飲食提供施設」に該当する必要があります。具体的には、①2020年4月1日時点で現に存在する飲食店であること、②資本金5,000万円以下であること、③客席面積100㎡以下であること、の3条件をすべて満たす施設が対象です。この3条件は、中小企業事業者かどうかの判定とは別に、施設単位でも確認される要件です。
補助の対象になる経費と、ならない経費
対象経費は、喫煙専用室等の設置・改修にかかる工費・設備費・備品費・機械装置費などです。厚生労働省の手引きでは、認められる経費と認められない経費が具体的に示されています。 > 認められる経費の例:電気工事・建築工事・配管工事等の人件費・材料費・運搬費・設計費(室の性能に直接寄与する部分)・管理費、喫煙区域と非喫煙区域を隔てるパーティションやドア・エアカーテン、換気装置・空気清浄装置・人感センサー、ガラリ・給気扇・差圧式吸気口、照明機器 > 認められない経費の例:デザイン料(受動喫煙防止に直接寄与しない内装等の部分)、助成金の申請書類作成・見積書作成のための費用、社会保険労務士などへの申請代行費用、喫煙区域内を区切るだけで受動喫煙防止効果に寄与しないパーティション・ドア、映像機器・音響機器・絵画・観葉植物・本棚、机・椅子(固定式を含む)、喫煙専用室の出入口前に設ける前室の費用、土地の取得費用 💡 見積もりを取る段階で、この区分を工事業者とあらかじめ共有しておくと、交付申請後の査定で対象経費が削られる事態を減らせます。
補助率と上限額の計算方法|面積1㎡あたり60万円の壁に注意
補助率・上限額には、面積による実質的な制限もあります。喫煙専用室等の単位面積(壁の内側・内のりの面積)あたりの助成対象経費が60万円/㎡を超える場合、都道府県労働局長が合理的な理由を認めない限り、60万円/㎡が助成対象経費の上限として扱われます。 例えば、飲食店以外の業種の事業場が3㎡の喫煙専用室の設置に300万円かける事業計画の場合、単位面積あたりの経費は300万円÷3㎡=100万円/㎡となり60万円/㎡を超えるため、助成対象経費は3㎡×60万円/㎡=180万円までに制限されます。そこに飲食店以外の業種の補助率1/2を掛けると、実際に交付される助成金は90万円です。 申請書類に記載する喫煙専用室等の面積は、必ず壁の内側(内のり)の面積で算出してください。
申請から受給までの流れ|交付決定前の着工は原則不可
申請から受給までは、おおむね次の流れになります。 1. 必要書類を準備する 2. 工事の発注・施工前に、設置する事業場を所轄する都道府県労働局へ交付申請する(申請期日は事業実施年度の1月31日) 3. 「交付決定通知書」を受け取ってから、工事を発注・施工する 4. 年度内(3月31日まで)に工事を完了し、費用全額の支払いを済ませる 5. 指定された期日までに事業実績報告書を提出する 6. 支払請求書を提出し、助成金を受け取る 交付決定日より前に工事を発注・契約・施工した場合、原則として助成の対象になりません。特段の事情で交付決定前に工事業者との契約や基礎工事などへ着手する必要がある場合も、事前に都道府県労働局の承認が必要です。また、年度内に工事が完了せず事業実績報告ができない場合、助成金は受け取れません。
いまから申請する場合の逆算|年度内完了に間に合うか
申請期日は令和9年1月31日ですが、助成金を受け取るには令和9年3月31日までに工事を完了し、事業実績報告まで終える必要があります。いま申請しても、交付決定の通知を受け取ってから工事業者を決め、発注し、施工・検査・支払いまで済ませる必要があり、申請が年明け以降になるほど、年度末までに使える期間は短くなります。 例えば、12月に申請して交付決定が1月になった場合、工事の発注から完了・支払いまでをおよそ2か月程度で終える計画が必要です。工事業者の手配状況や設備・部材の納期によっては、年度末に間に合わないこともあります。 💡 これから申請する場合は、申請前に工事業者へ着工可能な時期と工期の見通しを確認し、交付決定後すぐに発注できる段取りを整えておくと、年度内完了に間に合わないリスクを減らせます。
よくある見落としポイント|テナント・増設・改修の判断
実務でよくある、判断が分かれやすいケースも確認しておきましょう。 - テナントに入居している事業者も、施設管理者とあらかじめ調整し、措置を講じる場所に工事ができれば助成対象になります - 複数のテナントが入るビルの共用スペースに喫煙専用室を設ける場合、そのテナントの事業場内を禁煙にする必要がありますが、他のテナントの事業場まで禁煙にすることは求められません。ただし、廊下などの共用スペース自体は禁煙にする必要があります - 本助成金の交付を受けずに設置した既存の喫煙専用室の改修や、必要性が認められる場合の増設も対象になり得ますが、助成金の交付は1事業場あたり1回限りです - すでに受動喫煙防止の技術的基準を満たしている喫煙専用室に、さらに環境改善のための設備を追加するだけの計画は対象になりません 複数の事業場を持つ事業者は、企業全体の資本金または労働者数のいずれかが中小企業の基準を満たせば、事業場ごとに申請できます。ただし申請書類は事業場ごとに作成し、それぞれの所在地を管轄する労働局へ別々に提出する必要があります。
まとめ|申請期日だけでなく、年度内完了までを見て逆算する
受動喫煙防止対策助成金は、法律が求める水準より一歩進んだ受動喫煙防止策に取り組む中小企業の飲食店等を対象に、喫煙専用室等の設置・改修費を補助率2/3(飲食店以外の業種は1/2)・上限100万円で支援する制度です。対象になるには中小企業事業者であることに加え、事業場自体が「既存特定飲食提供施設」の3条件(2020年4月1日時点で現存・資本金5,000万円以下・客席面積100㎡以下)を満たしている必要があります。 令和8年度の申請期日は令和9年1月31日ですが、受給には年度内(3月31日まで)の工事完了と実績報告が必要なため、申請が遅くなるほど準備期間は短くなります。交付決定前に発注・着工すると原則助成を受けられない点にも注意してください。店舗の受動喫煙対策を検討する際は、設備投資や人材確保など他の制度と組み合わせられる場合もあります。対策だけに目を向けて他の支援策を確認しないまま進めると、組み合わせられた制度を見落とすこともあるため、/browse.htmlで目的や業種から関連する補助金・助成金もあわせて確認しておきたいところです。
参考情報
受動喫煙防止対策助成金|厚生労働省 — 公式情報を見る
受動喫煙防止対策助成金の手引き(令和8年8月13日最終改正・第10版)|厚生労働省 — 公式情報を見る
受動喫煙防止対策助成金のご案内|厚生労働省 — 公式情報を見る
受動喫煙防止対策助成金交付要綱|厚生労働省 — 公式情報を見る
受動喫煙防止対策助成金交付要領|厚生労働省 — 公式情報を見る
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