人材確保等支援助成金とは|雇用管理制度コースの支給額と要件を解説
公開日: 2026.10.12
人材確保等支援助成金とは|雇用管理制度コースの位置づけ
人材確保等支援助成金とは、事業主が新しい雇用管理制度や業務負担軽減機器等を導入し、従業員の離職率を下げた場合に支給される厚生労働省の助成金のことです。令和8年度は7つのコースで構成されており、そのうち中小企業が最も使いやすいのが「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」です。 > 賃金規定や人事評価制度を整える取り組みと、現場の作業負担を軽くする機器の導入、どちらも対象になります。 離職率を下げる取り組みであれば何でも対象になるわけではなく、助成金の対象として定められた制度・機器に限られる点に注意してください。
対象になる事業主・労働者の条件
このコースを使うには、雇用保険の適用事業の事業主であり、都道府県労働局に提出した「雇用管理制度等整備計画」の認定を受けていることが前提です。計画の認定申請日から計画期間の末日まで、同じ対象労働者を最低1人は継続して雇用している必要があります。 対象労働者とは、期間を定めずに雇用されている人、または有期雇用が反復更新されて実質的に無期雇用と同等とみなされる人のうち、雇用保険の被保険者である人を指します。導入した制度や機器は、対象労働者の2分の1以上に実際に適用・利用させなければ支給対象になりません。 - 💡 賃金規定制度だけは、整備する事業主が中小企業事業主であることが個別の要件になっています。諸手当等制度・人事評価制度・職場活性化制度・健康づくり制度・業務負担軽減機器等には、この規模条件はありません。
支給対象になる5つの雇用管理制度と上限額
雇用管理制度として助成の対象になるのは、次の5つです。 - 賃金規定制度(賃金規定・賃金表の整備) - 諸手当等制度(資格手当・退職金・賞与などの導入) - 人事評価制度(生産性向上に資する評価制度の導入) - 職場活性化制度(メンター制度・従業員調査・1on1ミーティングのいずれか) - 健康づくり制度(人間ドックの実施) 賃金規定制度・諸手当等制度・人事評価制度は、それぞれ新たに導入すると1つにつき40万円(賃金要件を満たすと50万円)が支給されます。職場活性化制度と健康づくり制度は、導入するメニューの数に関わらず1つにつき20万円(同25万円)です。 ただし、複数の制度を組み合わせても、雇用管理制度の導入分だけで支給される金額の合計には上限80万円(賃金要件を満たすと100万円)が設定されています。制度を増やすほど単純に増え続けるわけではない点を押さえておく必要があります。
雇用環境整備(業務負担軽減機器等)の支給額と対象経費
雇用管理制度とは別に、現場の作業負担を軽くする機器・設備を導入する取り組みも対象になります。対象経費の2分の1(賃金要件を満たすと62.5%または75%)が助成され、上限額は150万円(同187.5万円または225万円)です。 対象経費には機器・設備そのものの購入費用のほか、設定費用や従業員向けの研修費用、設置・撤去にかかる費用、リース契約・ライセンス契約にかかる費用も含まれます。一方で、パソコンやタブレットなどの汎用機器、空調設備のような快適性だけを目的とした設備、テレワーク用に自宅へ設置する機器などは対象外です。 > 賃金規定制度(40万円)+諸手当等制度(40万円)+雇用環境整備(上限150万円)を組み合わせると、合計230万円が上限になります。賃金を7%以上引き上げる要件まで満たせば、上限は325万円まで広がります。
離職率を下げるという成果目標の考え方
この助成金の最大の特徴は、制度を導入するだけでは支給されず、実際に離職率が下がったことまで確認される点です。離職率は、所定の期間の初日における雇用保険一般被保険者数に対して、その期間中に離職した人数が何パーセントにあたるかで算出します。 対象になる事業所の雇用保険一般被保険者が1〜9人なら現状維持、10人以上なら1ポイント以上の低下が目標です。計画認定申請日の12か月前からの「計画時離職率」と、計画期間終了後12か月間の「評価時離職率」を比較して判定されるため、制度を導入してから結果が出るまでに1年以上かかる設計になっています。 - 💡 離職率は制度を導入した事業所だけでなく、同じ事業主が設置するすべての雇用保険適用事業所を対象に算出します。
申請から支給までのスケジュール|計画はいつ出せばいいか
国の助成金の多くには「4月〇日から11月〇日まで」といった決まった受付期間がありますが、このコースは違います。雇用管理制度等整備計画は、事業主が設定する計画開始日からさかのぼって6か月前から1か月前までの間に、都道府県労働局へいつでも提出できます。 計画期間は3か月以上1年以内で設定します(人事評価制度を導入し、制度に基づく賃金の支払いが導入から1年を超えて発生する場合は1年3か月以内まで認められます)。計画の認定を受けたあとに制度・機器を導入・実施し、評価時離職率算定期間(計画期間終了後12か月間)が終わってから2か月以内に支給申請を行う流れです。 > 計画開始から支給申請まで、早くても1年半近くかかることを前提に、取り組みを始める時期を逆算しておくと無理のないスケジュールになります。
申請でつまずきやすい注意点
新たに導入する制度・機器であることが条件なので、労働局への計画提出より前に費用の一部でも支払ってしまった場合や、過去に導入していた制度と同じ内容を再度導入する場合は対象になりません。 また、人事評価制度区分や雇用環境整備の措置区分など、同じ雇用管理制度等区分に関する助成金を過去に受給している場合、最後の支給決定日の翌日から3年間が経過していなければ同じ区分では申請できません。 - 💡 賃金要件の加算を受けるには、制度を実施した日以後に賃金を引き上げる必要があります。健康づくり制度で人間ドックを受診させる前に賃上げを済ませてしまうと、加算の対象外になるため、賃上げを行う時期には注意してください。 離職者が出ている場合も、倒産や解雇など会社都合の離職理由による離職者数が被保険者数の6%を超えると、原則として支給対象から外れます。
まとめ|自社に合う制度から検討する
人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)は、賃金規定や評価制度の整備、人間ドックの導入のような「人」に関わる取り組みと、現場の機器導入という「環境」に関わる取り組みの両方を、離職率の低下という共通の成果目標で評価する助成金です。 固定の年間受付期間がなく、計画開始日を自社で決めて逆算できる分、取り組みを始めたいタイミングに合わせやすいのも特徴です。まずはどの制度・機器が自社の課題に合うかを整理し、計画開始日を決めたうえで労働局へ相談してみてください。他の雇用関係の助成金と比較しながら検討したい場合は、目的や業種から補助金・助成金を探せるページも確認してみてください。
参考情報
雇用関係助成金一覧(人材確保等支援助成金を含む)|厚生労働省 — 公式情報を見る
雇用管理制度・雇用環境整備助成コース(人材確保等支援助成金)|厚生労働省 — 公式情報を見る
人材確保等支援助成金のご案内 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース(令和8年4月8日版)|厚生労働省 — 公式情報を見る
人材確保等支援助成金 支給要領(令和8年4月8日版)|厚生労働省 — 公式情報を見る
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