人材開発支援助成金とは|事業展開等リスキリング支援コースの助成額を解説
公開日: 2026.10.19
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)とは|事業展開やDX・GXに伴う新分野訓練を支援
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)とは、新規事業の立ち上げなど事業展開に伴い、事業主が雇用する労働者に新たな分野で必要となる知識・技能を習得させる訓練を計画的に実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する厚生労働省の制度です。 対象になる訓練は、事業展開に直接結びつくものだけではありません。事業展開そのものを行わない場合でも、DX化やグリーン・カーボンニュートラル化に関連する業務に必要な訓練であれば対象になります。人材開発支援助成金には人材育成支援コースなど複数のコースがありますが、このコースは『事業展開』『DX』『GX』という新しい分野への対応に絞った、令和4年度から令和8年度までの期間限定措置として設けられています。
対象になる事業主と労働者・訓練|雇用保険被保険者への10時間以上のOFF-JT
支給対象になるのは、雇用保険適用事業所の事業主です。対象労働者は、その事業主が雇用する雇用保険被保険者に限られます。 訓練を受講させる前に、事業主側で準備しておくべきことが2つあります。1つは『職業能力開発推進者』を事業所ごとに1名以上選任すること、もう1つは自社の人材育成方針をまとめた『事業内職業能力開発計画』を策定し、労働者に周知することです。いずれも、訓練計画届を労働局に提出する日までに済ませておく必要があります。 訓練そのものにも条件があります。企業の通常の事業活動と区別して行うOFF-JT(職場を離れて行う研修)であること、そして助成対象とならない時間を除いた訓練時間数が10時間以上であることが必要です。社内の短い勉強会のような訓練は対象になりません。
助成率・助成額|経費助成75%(60%)と賃金助成1時間1,000円(500円)
助成額は、経費助成と賃金助成の2本立てで計算します。経費助成の助成率は中小企業事業主が75%、中小企業以外の事業主が60%で、受講料など訓練にかかった経費にこの率を乗じた額が助成されます。 > 賃金助成額については、注意が必要です。令和7年8月改定の厚生労働省『活用事例集』では、訓練時間中の賃金助成額を1人1時間あたり中小企業1,000円・中小企業以外500円としています。一方、令和6年9月改定の『のご案内(詳細版)』では、同じコースの賃金助成額が1人1時間あたり中小企業960円・中小企業以外480円と記載されており、2種類の公式資料で金額が異なります。複数の解説記事は、令和7年4月1日以降に提出された訓練計画届に基づく訓練から960円/480円が1,000円/500円へ引き上げられたと説明しており、より新しい資料の金額と一致します。申請前には、管轄の労働局で現時点の金額を確認してください。
支給限度額と受講回数の制限|1事業所1年度1億円、同一労働者は年3回まで
助成額には上限があります。1つの事業所が1年度に受けられる、事業展開等リスキリング支援コース全体の助成限度額は1億円です。 💡 同じ労働者に何度でも訓練を受けさせて助成を受けられるわけではありません。令和5年4月1日の改正により、同一労働者への助成は一の年度(支給申請日を基準に4月1日から翌年3月31日まで)で3回までと定められています。複数の訓練を計画する場合は、この回数制限を踏まえてスケジュールを組む必要があります。
実際の助成額イメージ|活用事例集の計算例から
厚生労働省の活用事例集には、実際に支給を受けた企業の計算例が複数掲載されています。たとえば従業員25名の運輸・郵便業の中小企業が、介護・福祉タクシードライバー養成のための第二種普通免許取得研修(訓練時間31.5時間、受講料221,000円)を実施したケースでは、経費助成165,700円(受講料の75%)と、賃金助成31,000円(助成対象となる31時間×1,000円)を合わせた196,700円が支給されています。 別の例では、情報通信業の中小企業がUI/UXデザイナー向け研修(訓練時間156時間+eラーニング72時間、受講料585,112円)を実施し、経費助成438,800円と賃金助成156,000円(156時間×1,000円)の合計594,800円が支給されました。訓練時間や受講料によって支給総額は大きく変わるため、自社の研修計画に近い事例を参考に、おおよその助成額をイメージしておくと申請の見通しが立てやすくなります。
申請の流れと注意点|訓練計画届は開始の1か月前までに提出
申請事業主が業務命令で対象労働者に訓練を受講させる場合、まず訓練開始日の1か月前までに訓練計画届を管轄の労働局に提出します。訓練期間中は対象労働者に適正に賃金を支払い、支給申請日までに訓練経費を全額負担しておくことも必要です。 申請手続きは、令和5年6月26日の改正により雇用関係助成金ポータルでの電子申請にも対応しています。支給申請の具体的な提出期限は訓練の実施状況によって個別に変わるため、本記事では日数を明記していません。計画段階で管轄の労働局またはハローワークに相談し、自社のスケジュールに合わせた提出期限を確認しておくことをおすすめします。 DX・GXに関連する新分野の訓練を検討している場合、本コース以外にもDX推進を目的にした補助金・助成金が使えることがあります。この確認を後回しにすると、より有利な制度を見落としたまま申請してしまうこともあるため、/browse.html?purpose=dxで関連する支援策もあわせて確認しておくと安心です。
まとめ|令和8年度までの時限措置、最新情報は労働局で確認を
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は、事業展開やDX・GXに伴う新分野の訓練を10時間以上のOFF-JTとして実施した事業主に対し、経費助成(中小企業75%・中小企業以外60%)と賃金助成(1人1時間あたり中小企業1,000円・中小企業以外500円、最新の公式資料による)を、1事業所1年度あたり1億円を上限に支給する制度です。 ただし令和4年度から令和8年度までの期間限定措置であり、また賃金助成額については厚生労働省の公式資料間でも記載が分かれている状況です。研修計画を立てる際は、最新の金額と制度の実施状況を管轄の労働局で確認したうえで進めてください。人材育成に使える助成金は、このコース以外にも複数存在します。他の制度もあわせて確認したい場合は、KANAEの検索で目的や業種から探してみてください。
参考情報
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)活用事例集|厚生労働省 — 公式情報を見る
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)|厚生労働省 — 公式情報を見る
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