労働時間短縮・年休促進支援コースとは|改善費用を最大150万円支援
公開日: 2026.10.24
労働時間短縮・年休促進支援コースとは|改善の取組にかかった費用を助成する厚生労働省の助成金
労働時間短縮・年休促進支援コースとは、生産性を向上させながら時間外労働を削減したり、年次有給休暇や特別休暇の取得を進めたりするための環境整備に取り組む中小企業事業主に対し、その取組(改善事業)にかかった経費の一部を助成する、働き方改革推進支援助成金の1コースです。令和2年4月から中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されていることを踏まえ、研修や労務管理用ソフトウェアの導入といった具体的な取組を後押しする制度として、令和8年度も実施されています。 助成額は、改善事業にかかった経費をそのまま全額負担するものではありません。選んだ成果目標の達成状況に応じた上限額と、対象経費の合計額に補助率を乗じた額を比べて、低い方の金額が助成されます。まずは、どんな事業主が対象になるのかを確認していきましょう。
対象になる事業主の条件|労災保険の適用と、業種別の資本金・従業員数の基準
対象になる中小企業事業主には、主に次の条件があります。 - 労働者災害補償保険の適用事業主であること(労働保険料の徴収等に関する法律上の暫定任意適用事業の事業主を除く) - 主たる事業の業種に応じて、資本金の額・出資の総額または常時使用する労働者の数のいずれかが、次の基準を満たすこと > 卸売業:資本金1億円以下または常時使用労働者100人以下/小売業:資本金5,000万円以下または50人以下/サービス業:資本金5,000万円以下または100人以下/医療・福祉のうち病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院:常時使用労働者300人以下/その他の事業:資本金3億円以下または300人以下 - すべての対象事業場で、年次有給休暇の付与実績にかかわらず、取得の時季・日数・基準日を明らかにした書類(年休管理簿など)を整備していること 💡 資本金と従業員数は「または」の関係です。どちらか一方の基準を満たせば対象になります。
助成の対象になる改善事業と経費上限額|研修からソフトウェア導入まで7区分
助成対象になる改善事業は、次の7区分です。 1. 労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するものや業務研修を含む) 2. 労働者に対する研修、周知・啓発 3. 外部専門家によるコンサルティング 4. 就業規則・労使協定等の整備 5. 人材確保に向けた取組 6. 労務管理用ソフトウェア・労務管理用機器・デジタル式運行記録計の導入・更新 7. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新 それぞれの区分には、助成対象経費として認められる上限額もあります。 > 研修(労務管理担当者向け・労働者向けの合計):30万円まで(提出代行者・事務代理者が事業を受託する場合は当該部分10万円まで)/周知・啓発:10万円まで/コンサルティング:10万円まで/就業規則・労使協定(36協定を除く)の整備:10万円まで/時間外・休日労働時間数を短縮させる場合の36協定の整備:1万円まで/それ以外の就業規則・労使協定の届出:1万円まで/人材確保に向けた取組:10万円まで この上限額を超えて改善事業を行うこと自体は問題ありませんが、助成対象経費として認められるのはこの金額までです。
3つの成果目標とその上限額|時間外・休日労働の削減、年休の計画的付与、時間単位年休・特別休暇の導入
成果目標は、次の3種類から1つ以上を選びます。選んだ成果目標をすべての対象事業場で達成できなければ、その成果目標に関する助成額は支給されません。 ① 時間外・休日労働の上限設定(変更後の36協定の届出等) ② 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入 ③ 時間単位の年次有給休暇制度・特別休暇制度のいずれか1つ以上の新規導入 成果目標①の上限額は、改善事業の実施前後で時間外・休日労働の設定時間数がどこまで下がったかによって変わります。 > 実施前が月60時間を超え月80時間以下で、実施後に月60時間以下まで短縮:100万円/実施前が月80時間超で、実施後に月60時間以下まで短縮:150万円/実施前が月80時間超で、実施後に月60時間を超え月80時間以下まで短縮:50万円 成果目標②・③の上限額は、それぞれ25万円です。 💡 成果目標①を選ぶ場合、交付申請日を有効期間に含み、対象期間の始期が令和8年1月1日以後の36協定が必要です。令和8年1月1日以後の期間のみを対象として初めて36協定を届け出る事業主は、この成果目標を選べません。
賃上げ加算・割増賃金率引上げ加算で上限額を上乗せする仕組み
上記の成果目標に加えて、次の2つの加算制度を任意で選ぶと、上限額を上乗せできます。 まず賃上げ加算は、常時使用する労働者が30人を超える事業主が対象で、賃金を引き上げた人数と引上げ率に応じて加算額が決まります。 > 1〜3人:3%以上引上げで6万円/5%以上で24万円/7%以上で36万円。4〜6人:12万円/48万円/72万円。7〜10人:20万円/80万円/120万円。11〜30人は1人当たり単価(3%以上2万円・上限60万円、5%以上8万円・上限240万円、7%以上12万円・上限360万円)で計算します。 常時使用する労働者数が10人以上30人以下の場合は5%・7%以上引上げの加算額が2倍、10人未満の場合は2.5倍になります。 もう1つの割増賃金率引上げ加算は、月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5%以上引き上げると25万円、月45時間を超えて月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5割以上とし、かつ時間外労働の時間数を労働者1人あたり10時間以上削減すると75万円が加算されます。
補助率と助成額の決まり方|3/4(条件により4/5)、上限額と対象経費のどちらか低い金額
実際の助成額は、次の2つの金額を比べて、低い方になります。 1. 選んだ成果目標の上限額に、賃上げ加算・割増賃金率引上げ加算の上限額を合計した金額 2. 助成対象経費の合計額に補助率を乗じた額 補助率は原則4分の3です。ただし、常時使用する労働者数が30人以下で、改善事業のうち⑥労務管理用ソフトウェア等の導入・更新または⑦労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新を実施し、その所要額が30万円を超える場合は、補助率が4分の5まで上がります。 > 例えば、成果目標①で実施前が月80時間超、実施後に月60時間以下まで短縮した場合の上限額は150万円です。これに対象経費の合計額に補助率を乗じた額が120万円であれば、低い方である120万円が助成額の目安になります。 経費を税込み・税抜きのどちらで申請するかによって、補助率を乗じる基準額の扱いも変わるため、申請前に確認しておくと手続きがスムーズです。
申請から支給までの流れと期限|交付申請は2026年11月30日まで
手続きは、次の順で進みます。 1. 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ交付申請書を提出する(電子申請システム「Jグランツ」からの申請も可能) 2. 交付決定を受けたら、提出した事業実施計画に沿って改善事業を実施する 3. 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ支給申請を行う 4. 審査を経て、助成額が支給される 期限は次のとおりです。 > 交付申請期限:令和8年11月30日(月)/事業実施:令和9年1月31日(日)まで/支給申請期限:事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後の日、または令和9年2月5日(金)のいずれか早い日 本助成金は国の予算額に制約されるため、11月30日より前に、予告なく受付を締め切る場合があります。不明点は、企業の所在地を管轄する働き方改革推進支援センターまたは都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談できます。
まとめ|改善事業と成果目標を選ぶ前に確認しておきたいこと
労働時間短縮・年休促進支援コースは、研修やコンサルティング、労務管理用ソフトウェアの導入といった改善事業に取り組む中小企業事業主に、選んだ成果目標と加算制度の上限額、対象経費に補助率を乗じた額のいずれか低い金額を助成する制度です。成果目標①の上限額は改善前後の時間数の区分によって100万円・150万円・50万円に分かれ、経費の区分ごとにも上限額があります。 交付申請の期限は令和8年11月30日ですが、予算の状況によっては前倒しで締め切られることもあるため、早めの検討がおすすめです。自社の業種・従業員数が中小企業事業主の基準を満たすか、どの成果目標なら実際に達成できそうかを確認してから、改善事業の計画を立ててください。労働時間や休暇の整備だけに目を向けると、人材確保や人材育成に使える他の助成金との組み合わせを見落とすこともあるため、/browse.htmlで目的や業種から関連する補助金・助成金もあわせて確認しておきたいところです。
参考情報
令和8年度「働き方改革推進支援助成金」労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内|厚生労働省 — 公式情報を見る
働き方改革推進支援助成金交付要綱(労働時間短縮・年休促進支援コース)|厚生労働省 — 公式情報を見る
働き方改革推進支援助成金支給要領(労働時間短縮・年休促進支援コース)|厚生労働省 — 公式情報を見る
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