働き方改革推進支援助成金とは|5つのコースと上限額・申請期限を解説
公開日: 2026.10.11
働き方改革推進支援助成金とは|5つのコースと対象事業主
働き方改革推進支援助成金とは、生産性向上に向けた設備投資等の取り組みにかかる費用を助成することで、労働時間の削減や休暇取得の促進といった環境整備に取り組む中小企業事業主を支援する、厚生労働省の制度です。 令和8年度は、業種別課題対応コース・労働時間短縮・年休促進支援コース・勤務間インターバル導入コース・取引環境改善コース(令和8年度新設)・団体推進支援コースの5コースで構成されています。取引環境改善コースは、トラックドライバーの荷待ち・荷役時間の短縮に向けた取引環境整備を支援するために、今年度から新たに設けられたコースです。どのコースも、労災保険の適用事業主であることが前提になります。
労働時間短縮・年休促進支援コースの上限額と助成率
最も幅広い中小企業事業主が対象になるのが、労働時間短縮・年休促進支援コースです。36協定で定める月の時間外・休日労働時間数を、月80時間超から月60時間以下まで削減するなどの成果目標を達成した場合、上限額は150万円です。年次有給休暇の計画的付与制度を整備した場合は25万円、時間単位の年休制度や特別休暇制度を整備した場合は25万円が上限になります。 助成率は原則、対象経費の合計額に3/4を掛けた額です。常時使用する労働者数が30人以下で、一部の改善事業を実施し、その所要額が30万円を超える場合は、助成率が4/5まで上がります。実際の交付額は、成果目標ごとの上限額の合計と『対象経費の合計額×助成率』のいずれか低い方になるため、上限額どおりに受け取れるとは限らない点に注意してください。
業種別課題対応コースの対象業種と上限額
業種別課題対応コースは、長時間労働等の課題を抱えやすい特定の業種を対象にしたコースです。対象業種は、建設業、自動車運転の業務に従事する労働者を雇用する運送業等、病院等、鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業、情報通信業・宿泊業(中分類75)に限られます。 > 成果目標は7種類あり、上限額もそれぞれ異なります。36協定の時間外・休日労働時間の削減(月80時間超から月60時間以下等)は250万円、所定外労働時間の削減は100万円、年休の計画的付与制度の整備は25万円、時間単位の年休・特別休暇の整備は25万円、所定休日の増加(4週4休から4週8休等)は100万円、医師の働き方改革の推進は50万円です。新規に9時間以上の勤務間インターバル制度を導入した場合は170万円が上限ですが、自動車運転の業務・医業に従事する医師は10時間以上の導入で150万円が上限になるという違いがあります。
勤務間インターバル導入コースの上限額
勤務間インターバル導入コースは、終業から次の始業までの休息時間(勤務間インターバル)を9時間以上、新規に導入する、適用範囲を拡大する、または時間を延長する中小企業事業主を対象にしています。上限額は、導入する勤務間インターバルの時間数によって変わり、9時間以上11時間未満の場合は100万円、11時間以上の場合は150万円です。 すでに勤務間インターバル制度を社内規程として導入している企業でも、適用対象の労働者を広げたり、既存のインターバル時間を延長したりする取り組みであれば、対象になる可能性があります。導入済みだからといって一律に対象外になるわけではないため、現状の制度内容を整理したうえで、管轄の労働局に相談してみるとよいでしょう。
取引環境改善コース・団体推進支援コースの概要|R8新設・団体向け
取引環境改善コースは、令和8年度に新設されたコースです。発着荷主や倉庫事業者等が、運送事業者を含めた集団を構成し、トラック予約システムやハンドリフトの導入といった取り組みを行い、構成員である運送事業者の荷待ち・荷役時間の短縮について成果を上げた場合に、上限額100万円が助成されます。個々の事業主ではなく、荷主側の『集団』を対象にしている点が特徴です。 団体推進支援コース(案内資料によっては団体推進コースと表記される場合もあります)は、事業主団体がその傘下企業のうち労働者を雇用する企業の半数以上について、取り組みまたは取り組み結果を活用した場合に助成される、定額・上限500万円のコースです。この2コースは助成率が『定額』である点、個々の中小企業ではなく集団・団体が申請主体になる点で、他の3コースとは仕組みが異なります。
賃上げ加算で上限額がどこまで増えるか
業種別課題対応コース・労働時間短縮・年休促進支援コース・勤務間インターバル導入コースの3コースには、賃上げに応じた加算制度があります(取引環境改善コース・団体推進支援コースは加算の対象外です)。対象労働者の賃金を3%以上引き上げた場合は6万円から最大60万円、5%以上引き上げた場合は24万円から最大480万円、7%以上引き上げた場合は36万円から最大720万円が、賃上げの対象になった労働者数と企業規模に応じて上限額に加算されます。 💡さらに、割増賃金率の引き上げに対する加算もあります。法定の割増賃金率より5%以上引き上げた場合は25万円、1か月45時間超60時間以内の時間外労働に対する割増賃金率を50%以上に引き上げるなど一定の要件を満たした場合は100万円が、それぞれ上限額に加算されます。加算を使えば上限額そのものは大きく伸びますが、実際の交付額は対象経費×助成率を超えないため、設備投資等の費用も一定規模で見込んでおく必要があります。
2026年度の申請期間と中小企業の規模要件
令和8年度の働き方改革推進支援助成金は、2026年4月13日(月)から申請受付が始まっており、交付申請の期限は2026年11月30日(月)午後5時必着です。ただし、支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、11月30日より前に受付を締め切る場合があると明記されています。事業の実施期間は、交付決定の日から当該年度の1月31日までで、砂糖製造業に関する業種別課題対応コースの対象事業に限っては3月14日までとされています。 対象になる中小企業事業主の規模要件は業種ごとに異なります。卸売業は資本金1億円以下または常時使用する労働者数100人以下、小売業は資本金5000万円以下または50人以下、サービス業は資本金5000万円以下または100人以下、病院・診療所等の医療・福祉は労働者300人以下、その他の業種は資本金3億円以下または労働者300人以下です。申請窓口は事業所を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で、電子申請はJグランツからも行えます。
まとめ|どのコースが自社に合うか
働き方改革推進支援助成金は、生産性向上の取り組みを通じて労働時間の削減や休暇取得の促進を進める中小企業事業主を、コースごとに異なる成果目標・上限額で支援する制度です。時間外労働の削減や年休促進に広く取り組みたい場合は労働時間短縮・年休促進支援コース、建設業・運送業等の特定業種で業種特有の課題に取り組む場合は業種別課題対応コース、勤務間インターバル制度の導入・拡大に取り組む場合は勤務間インターバル導入コースが、それぞれの入り口になります。 申請期限は2026年11月30日午後5時ですが、予算の状況によって早期に締め切られる可能性がある点は見落とせません。どのコースが自社に合うかを見極めるには、まず取り組みたい労働時間の課題を一つに絞り、その成果目標と上限額を確認したうえで、早めに管轄の労働局や働き方改革推進支援センターに相談しておくことをおすすめします。KANAEの検索からも、人材の採用・育成に関わる他の助成金を確認できます。
参考情報
令和8年度働き方改革推進支援助成金のご案内(厚生労働省) — 公式情報を見る
働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)|厚生労働省 — 公式情報を見る
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)|厚生労働省 — 公式情報を見る
令和8年度働き方改革推進支援助成金のご案内(東京労働局) — 公式情報を見る
自社に使える制度を探す
目的別・業種別に補助金・助成金を検索できます。