キャリアアップ助成金とは|正社員化コースの支給額と重点支援対象者を解説

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キャリアアップ助成金とは|正社員化コースの位置づけと6つのコース

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員転換や処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する、厚生労働省の制度です。正社員化コース・障害者正社員化コース・賃金規定等改定コース・賃金規定等共通化コース・賞与、退職金制度導入コース・短時間労働者労働時間延長支援コースの6コースで構成されており、このうちもっとも利用件数が多いのが、非正規雇用労働者を正社員へ転換した場合に助成される正社員化コースです。 正社員化コースでいう「正社員転換」には、いわゆる正規雇用労働者への転換だけでなく、勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員といった「多様な正社員」への転換(派遣労働者を正社員として直接雇用する場合を含む)も含まれます。フルタイムで転勤もある正社員だけが対象ではなく、働き方を限定した正社員への転換も助成の対象になる点は、意外と見落とされがちです。

対象になる事業主の条件|雇用保険適用事業所・キャリアアップ管理者の設置などの共通要件

正社員化コースを含む全コース共通の対象事業主の要件は、雇用保険適用事業所の事業主であること、雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップに取り組む担当者である「キャリアアップ管理者」を置いていること、対象労働者に係る「キャリアアップ計画」を作成し管轄の労働局長に提出していること、対象労働者の労働条件・勤務状況・賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備していること、キャリアアップ計画の期間内に実際にキャリアアップへ取り組んだことです。 一方で、次のいずれかに該当する事業主は受給できません。 - 支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主 - 支給申請日の前日から過去1年間に労働関係法令の違反を行った事業主 - 性風俗関連営業等またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主、暴力団と関わりのある事業主 - 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主 助成額は企業規模によって異なり、中小企業事業主の範囲は、資本金の額・出資の総額が小売業(飲食店を含む)5,000万円以下・サービス業5,000万円以下・卸売業1億円以下・その他の業種3億円以下、または常時雇用する労働者の数が小売業50人以下・サービス業100人以下・卸売業100人以下・その他の業種300人以下のいずれかに該当する事業主です。どちらか一方の基準を満たせば中小企業として扱われます。

支給額|重点支援対象者なら中小企業で最大80万円、該当しなければ40万円

正社員化コースの支給額(1人当たり)は、対象労働者が「重点支援対象者」に該当するかどうかで大きく変わります。重点支援対象者を中小企業が有期雇用労働者から正規雇用労働者へ転換した場合は80万円(40万円×2期)、無期雇用労働者からの転換は40万円(20万円×2期)です。大企業の場合は、重点支援対象者の有期雇用労働者からの転換で60万円(30万円×2期)、無期雇用労働者からの転換で30万円(15万円×2期)になります。 重点支援対象者に該当しない場合は、中小企業で有期雇用労働者からの転換が40万円(40万円×1期)、無期雇用労働者からの転換が20万円(20万円×1期)、大企業で有期雇用労働者からの転換が30万円(30万円×1期)、無期雇用労働者からの転換が15万円(15万円×1期)と、おおむね半額になります。1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20名(同一対象者の2回目の申請を除く)です。 💡 検索結果でよく見かける『最大80万円』という金額は、中小企業が重点支援対象者に該当する有期雇用労働者を転換した場合に限られます。自社が重点支援対象者の条件を満たすかどうかを先に確認しないと、想定より少ない金額になることがあります。

重点支援対象者とは|2期に分けて申請できる3つのパターンa・b・c

重点支援対象者とは、次のa・b・cのいずれかに該当する対象労働者をいいます。 - a:雇い入れから3年以上の有期雇用労働者 - b:雇い入れから3年未満で、雇い入れの日の前日から起算して過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下、かつ雇い入れの日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない有期雇用労働者 - c:派遣労働者・母子家庭の母または父子家庭の父・人材開発支援助成金の特定の訓練修了者を正社員として直接雇用する場合 重点支援対象者に該当する転換は、支給額が高いだけでなく、正社員転換後さらに6か月雇用した場合に2期目の支給申請ができる点も特徴です。1事業所当たりの支給申請上限人数20名の枠内で、1人当たり2期分を合算した金額(中小企業・有期雇用からの転換なら合計80万円)を受け取れます。長く勤めている有期雇用労働者や、派遣労働者の直接雇用を検討している場合は、重点支援対象者に当てはまらないかをまず確認する価値があります。

加算措置|正社員転換制度の新規定・多様な正社員制度・しょくばらぼへの公表で上乗せ

正社員化コースには、基本の支給額に加えて次の加算措置があります(いずれも1事業所当たり1回のみ)。 - 正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合:20万円(大企業15万円) - 勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員のいずれか1つ以上の「多様な正社員制度」を新たに規定し、転換等した場合:40万円(大企業30万円) - 正規雇用労働者への転換等に係る所定の情報を自ら管理するウェブサイトまたは職場情報総合サイト(しょくばらぼ)に公表した場合:20万円(大企業15万円) 就業規則に正社員転換に関する規定が一切ない状態から制度を整備して転換する場合や、多様な正社員制度をあわせて新設する場合は、基本の支給額に加えてこれらの加算を受けられる可能性があります。すでに転換実績のある企業でも、転換情報の公表をまだ行っていなければ、公表だけで加算の対象になることがあります。

申請までの流れ|キャリアアップ計画の提出から支給申請の期限まで

正社員化コースの標準的な流れは、次のとおりです。 1. 各コースの実施日の前日までに「キャリアアップ計画」を作成し、管轄の労働局長に提出する 2. 就業規則等に基づいて対象労働者を正社員転換する 3. 正社員転換後6か月分の賃金を支払う 4. 支払った日の翌日から起算して2か月以内に支給申請を行う > 見落とされやすいのが、ステップ3の賃金要件です。正社員転換後6か月分の賃金は、転換前6か月の賃金と比較して3%以上増額して支払う必要があります。単に雇用形態を正社員に変えるだけでなく、実際に賃金を上げたうえで支払うことが支給の条件になっています。 支給申請書および添付書類は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出します(ハローワークを通じて提出できる場合もあります)。GビズIDを取得すれば、雇用関係助成金ポータルから各コースのキャリアアップ計画の届出と支給申請を電子申請で行うこともできます。

対象外になるケース・見落としやすい注意点|新規学卒者・賃金3%要件・不正受給のペナルティ

対象労働者が新規学卒者に該当し、申請事業主に雇い入れられた日から起算して1年を経過していない場合は支給対象外です。たとえば令和8年4月1日に雇用された新規学卒者であれば、令和9年3月31日までは支給対象外になります。新卒採用した人材をすぐに正社員転換扱いにしても、この助成金の対象にはならない点に注意が必要です。 同一の行為等を対象として2つ以上の助成金等が申請された場合、一方しか支給されないことがあります(併給調整)。また、年度の途中で助成金制度の要件等が変更になる場合があるため、取組を実施する際は最新の要件等について事前に管轄の労働局またはハローワークへ問い合わせることが案内されています。 偽りその他不正行為により本来受けることのできない助成金を受け、または受けようとした場合、助成金は不支給または支給取消しとなります。不正受給が発覚した場合は、助成金の返還に加えて受給した日の翌日から返還を終了する日までの期間に対し年3%の延滞金が付され、返還額の20%の違約金が請求されるほか、原則として5年間は雇用関係助成金を受給できなくなります。制度の趣旨・目的に沿わない形式的な転換は、助成金の対象にならないと考えておく必要があります。

まとめ|キャリアアップ助成金(正社員化コース)を知り、ほかの制度もKANAEで探す

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、有期雇用労働者等を就業規則等に基づいて正社員転換した事業主に対し、1人当たり最大80万円(中小企業・重点支援対象者・有期雇用からの転換の場合、40万円×2期)を助成する制度です。重点支援対象者に該当するかどうか、中小企業・大企業のどちらに区分されるかによって支給額が変わり、正社員転換後6か月分の賃金を3%以上増額したうえで、支払った日の翌日から起算して2か月以内に支給申請を行う必要があります。 対象条件や金額を自己判断だけで進めると、重点支援対象者の確認漏れや賃金要件の未達成によって、想定していた金額を受け取れないことがあります。申請を検討する段階で、管轄の労働局・ハローワークや社会保険労務士に相談しておくと安心です。雇用に関する助成金は、正社員化コース以外にも複数存在します。他の制度もあわせて確認したい場合は、KANAEの検索で目的や業種から探してみてください。

参考情報

キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版・令和8年4月8日時点)|厚生労働省 — 公式情報を見る

キャリアアップ助成金|厚生労働省 — 公式情報を見る

雇用関係助成金の電子申請(雇用関係助成金ポータル)|厚生労働省 — 公式情報を見る

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