エイジフレンドリー補助金とは|令和8年度の補助率・上限額と11月20日締切への逆算
公開日: 2026.10.21
エイジフレンドリー補助金とは|60歳以上が働く職場の労災防止対策を補助
エイジフレンドリー補助金とは、60歳以上の高年齢労働者が安全に働けるように、中小企業事業者が行う設備改善や専門家による指導などの労働災害防止対策の経費の一部を補助する、厚生労働省の補助金です。令和8年度の申請受付は5月20日から始まり、当初10月31日までだった期限が11月20日(金・当日消印有効)まで延長されました。申請先は、補助事業者である一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会の「エイジフレンドリー補助金事務センター」です。 令和8年度は次の3コースで構成されています(上限額はいずれも消費税を除く)。 - 専門家総合対策コース:第1段階(リスクアセスメント)補助率4/5、第2段階(職場環境改善・運動指導等)補助率1/2、合計上限100万円 - 熱中症対策コース:補助率1/2、上限100万円 - コラボヘルスコース:補助率3/4、上限30万円 申請された計画を審査し、効果が期待できるものに交付する仕組みのため、申請すれば必ず受け取れる制度ではありません。また、予算額に達した場合は受付期間の途中でも受付が終了することがあります。延長を知らせる事務センターのリーフレットでは「本年度は申請状況に余裕があります」と案内されています。
対象になる事業者|2つの条件と中小企業の範囲
対象になるのは、次の2つをどちらも満たす中小企業事業者です。 - 1年以上事業を実施していること - 役員を除き、自社の労災保険が適用される60歳以上の高年齢労働者が常時1名以上就労していること 中小企業事業者の範囲は、常時使用する労働者数か資本金等のいずれか一方を満たせばよく、小売業(飲食店含む)は50人以下または5,000万円以下、サービス業(医療・福祉、宿泊業、情報サービス業など)は100人以下または5,000万円以下、卸売業は100人以下または1億円以下、製造業・建設業・運輸業などその他の業種は300人以下または3億円以下です。資本金や出資がない社会福祉法人・医療法人などは、法人全体の労働者数だけで判断します。 > 労災保険に特別加入している中小事業主や家族従事者は「労働者」に数えられません。また、開設から1年未満の新しい事業場や新倉庫に導入する設備は、「1年以上事業を実施していること」の基準により対象外とされています。
専門家総合対策コース|いまは自社のリスクアセスメントで第2段階から申請
専門家総合対策コースは、高年齢労働者の特性に配慮したリスクアセスメントを行い、その結果、優先度が高いと判断された対策を実施する2段階のコースです。労働安全コンサルタントなど外部専門家にリスクアセスメントを依頼する第1段階は、令和8年9月30日で申請期間が終わっています。いまから申請する場合は、自社の安全管理者・衛生管理者・安全衛生推進者・衛生推進者(常時使用する労働者が10人未満の事業場は事業主も可)がリスクアセスメントを行い、安全衛生委員会や職場ミーティングで話し合ったうえで、第2段階から申請します。リスクアセスメントと話し合いは令和8年4月1日以降に実施したものが対象で、自社で行う場合の費用は補助されません。厚生労働省は簡易リスクアセスメント様式と、製造業・建設業・運送業・介護作業などの業種別記載例を公開しています。 第2段階は、次のどちらか一方を選んで申請します(補助率1/2)。 - 職場環境改善:床や通路の段差解消、防滑床材・グレーチング・通路の凍結防止装置、階段の手すり・滑り止め、2m未満の高所作業台、ハンドリフトなどの重量物搬送機器、アシストスーツ、介護の移乗・入浴介助機器、ノーリフトケアの研修、自社名義車両への踏み間違い防止装置の後付けなど - 運動指導:理学療法士や健康運動指導士などの専門家による身体機能チェック、運動指導、改善チェックの3つをすべて対面で実施する取組(転倒防止と腰痛予防はどちらか一方) 💡 アシストスーツのように個人が身につける機器は、対策に関わる高年齢労働者の人数分までが補助の上限です。台数を見積もる段階で人数と合わせておくと、申請内容の修正を減らせます。
熱中症対策コースとコラボヘルスコース|対象になる機器・取組
熱中症対策コース(補助率1/2・上限100万円)は、屋外作業、または温湿度調整をしても室温31℃かWBGT(暑さ指数)28℃を超える屋内作業場で、60歳以上の労働者が働いている場合に使えます。対象は、体温を下げる機能のある服(電動ファン付き作業服を含み、高年齢労働者の人数分)、熱を屋外へ逃がせる移動式スポットクーラー、アイススラリーや保冷剤を冷やす専用の冷凍ストッカー(400Lまで)、深部体温を推定して集中管理できるウェアラブルデバイスによる健康管理システムなどです。一方で、WBGT指数計、保冷剤そのもの、扇風機・送風機・サーキュレーター、屋根の遮熱塗装や断熱工事は対象外です。 コラボヘルスコース(補助率3/4・上限30万円)は、事業主健診の結果を協会けんぽなどの医療保険者に提供していることが前提です。健診結果を踏まえた禁煙指導などの健康教育・研修(メンタルヘルス対策は単独では申請不可)、健診結果を電子的に管理するシステムの導入初期費用(パソコン等の購入は対象外)、栄養・保健指導が対象で、指導は専門家との対面に限られます。過去にこのコースの補助を受けた事業者は申請できません。
補助の対象にならない主な経費|令和8年度に外れたものも確認
公式Q&Aでは、補助の対象にならない経費が細かく示されています。申請書を作る前に、見積もりからこれらを外しておくのが確実です。 - リース代金、消費税、振込手数料、自社で機器を据え付ける費用 - 法令で導入が義務づけられている安全機器・安全装具 - 工具、生産機器、事務用機器、コンベアなどの生産ライン - 照明器具の交換、トイレの改修、介護施設の電動ベッド - クレーン、乗用フォークリフト、テールゲートリフター、自動車整備用リフト - 顧客や施設利用者が主に使う設備の改修 - 令和8年度は対象外:危険箇所の安全標識・警告灯、防滑靴、トラック荷台等の昇降設備、事務室や作業場へのエアコン(工場扇・送風機を含む) また、1つの事業者が補助を受けられるのは同じ年度で1回限りで、複数コースを同時に申請することはできません。過去に補助を受けた対策と同じ内容(たとえば以前に段差解消で受給していれば、別の場所の段差解消)も対象外です。
11月20日締切に向けた逆算|審査は毎月末締め・翌月実施
交付申請書類は毎月末に取りまとめられ、翌月にまとめて審査されます。個別に審査を早めてもらうことはできません。事務センターが公表している日程では、10月1日〜31日に受け付けた分は11月に審査され11月末〜12月上旬に結果連絡、11月1日〜20日に受け付けた分は11月下旬〜12月初旬に審査され12月中旬以降に結果連絡となります。 > 実績報告書と支払請求書の受付期限は令和9年1月31日(当日消印有効)です。交付決定を受けてから発注し、納品・工事・指導を終え、業者へ支払いを済ませたうえで、この日までに請求書類を出す必要があります。 11月に申請すると、交付決定から請求期限まではおよそ1か月半しかなく、その間には事務センターの年末年始休業(12月29日〜1月3日)も挟まります。Q&Aでも、運動指導は事後の身体機能チェックに時間がかかるため、10月申請でも締切に間に合わないことがあると注意されています。 💡 これから申請する場合は、納期の短い機器の導入や短期間で終わる工事など、1月中に確実に完了・支払いまで終えられる取組を選び、申請前に業者へ納期を確認しておくと安心です。10月中(当日消印有効)に出せば、11月審査の回に入れます。
交付決定後でも補助金が支払われない典型パターン
エイジフレンドリー補助金でいちばん多い失敗は、発注のタイミングです。交付決定日より前に発注・契約・購入した経費は、どんな理由があっても補助の対象外になります。申請時に出す見積書は発注書とはみなされず、発注書の日付が交付決定通知書と同じ日になっているものも、郵送にかかる日数を考えると不適切とされています。 - 交付決定通知書が手元に届き、内容を確認してから発注する - 取組がすべて完了する前に代金を払う「前払い」はしない(ネット購入も同じ) - ローン、手形、小切手、電子記録債権、電子マネー、プリペイドでの支払いは対象外 - 交付決定された計画と違う内容で実施すると支払われない - 補助対象の品と自費で買う品を同じ発注・請求にまとめない 申請書は事業者自身が提出する必要があり、機器の販売業者や施工業者、社会保険労務士による提出代行はできません。郵送で出す場合は、料金別納・料金後納や受付日が確認できない宅配便は避けるよう案内されています。
まとめ|締切延長は今年度最後の申請機会、発注は交付決定のあとに
エイジフレンドリー補助金は、60歳以上の従業員が1人以上いる中小企業が、転倒・腰痛・熱中症などの労働災害を防ぐ設備や取組に使える補助金です。令和8年度の申請は11月20日(当日消印有効)まで延長されていますが、第1段階はすでに終わっているため、いまからは自社のリスクアセスメントをもとに第2段階、または熱中症対策・コラボヘルスの各コースから申請することになります。 審査は毎月末締め・翌月実施で、支払請求の期限は令和9年1月31日です。申請が遅くなるほど実施に使える期間は短くなるため、対象外の経費を外した見積もりと、交付決定後すぐに動ける段取りを先に整えておくことが大切です。高年齢の従業員を支える取組には、雇用や処遇に関する別の制度もあります。安全対策だけを見て他の支援策を確認しないまま進めると、組み合わせられた制度を逃すこともあるため、/browse.htmlで目的や業種から関連する補助金・助成金もあわせて確認しておきたいところです。
参考情報
エイジフレンドリー補助金|厚生労働省 — 公式情報を見る
令和8年度エイジフレンドリー補助金のご案内(リーフレット・令和8年10月2日修正版)|厚生労働省 — 公式情報を見る
令和8年度エイジフレンドリー補助金Q&A(令和8年6月26日更新)|厚生労働省 — 公式情報を見る
エイジフレンドリー補助金事務センター|一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会 — 公式情報を見る
エイジフレンドリー補助金リーフレット(申請期間延長等)|エイジフレンドリー補助金事務センター — 公式情報を見る
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