65歳超雇用推進助成金とは|3つのコースの支給額と対象を解説
公開日: 2026.10.11
65歳超雇用推進助成金とは|3つのコースと対象事業主
65歳超雇用推進助成金とは、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)に基づき、高年齢者の雇用環境整備に取り組む事業主を支援する制度です。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が実施しています。 令和8年度は、65歳超継続雇用促進コース・高年齢者評価制度等雇用管理改善コース・高年齢者無期雇用転換コースの3コースで構成されています。定年の引上げや継続雇用制度を見直したいのか、賃金や健康管理の制度を整えたいのか、有期契約のパートタイマー等を無期雇用に転換したいのかによって、選ぶコースが変わります。 対象となる事業主は、雇用保険適用事業所の事業主であって支給申請日・支給決定日の時点で雇用保険被保険者が存在すること、審査に必要な書類を整備・保管し調査に協力すること、そして高年齢者雇用安定法第8条(60歳以上の定年を定めている)又は第9条第1項(65歳までの安定した雇用を確保する措置を定めている)の規定と異なる定めをしていないこと、の4点を満たす必要があります。
65歳超継続雇用促進コース|定年引上げ・定年廃止の支給額
65歳超継続雇用促進コースは、定年の引上げや廃止、継続雇用制度の導入といった取り組みに応じて定額を助成するコースです。支給額は、実施した措置の内容と、60歳以上の被保険者数(1〜3人・4〜6人・7〜9人・10人以上)の組み合わせで決まります。 > 定年の引上げ・廃止に関する支給額の目安は次のとおりです。65歳への定年引上げは被保険者1〜3人で15万円、10人以上で30万円。66〜69歳への引上げ(5年以上の取り組み)は40万円〜135万円。70歳以上への引上げは45万円〜140万円。そして定年の定めそのものを廃止した場合は60万円〜240万円と、4つの措置の中でもっとも高い水準になります。 支給には、就業規則等でこれらの措置が実施されていることを確認できることに加え、対象被保険者が定年時に適用されていた就業規則の提出が必要です。パート規則や再雇用規程などの付属規定も確認対象に含まれます。
65歳超継続雇用促進コース|66歳以上への継続雇用制度導入の支給額
定年そのものを引き上げなくても、66歳以上への継続雇用制度を導入すれば支給対象になります。希望者全員を対象にする場合、66〜69歳までの継続雇用で22万円〜90万円、70歳以上までの継続雇用で40万円〜130万円(いずれも被保険者数1〜3人〜10人以上の幅)です。対象者を一定の基準で選ぶ場合は、これよりやや低い額になります。 自社単独での継続雇用制度ではなく、グループ会社など他社による継続雇用制度を導入する形でも対象になります。この場合の支給額は、66〜69歳の希望者全員で20万円〜70万円、70歳以上の希望者全員で32万円〜105万円です。 💡実施した制度の引き上げ年数や被保険者数に応じて定額が助成されますが、同じ事業主が複数の取組みを実施した場合でも、支給額はいずれか高い額のみとなり、合算はされません。申請は、制度を実施した日の属する月の翌月から起算して4か月以内の各月月初から15日までに、都道府県支部へ行う必要があります。
高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの支給額と申請スケジュール
高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、高年齢者の雇用を推進するために、賃金制度や健康管理制度といった雇用管理制度の整備に取り組んだ事業主を支援します。賃金・人事処遇制度の導入又は改善を行った場合は、中小企業事業主が60万円、中小企業以外が45万円。労働時間制度・在宅勤務制度・研修制度・健康管理制度の導入などそれ以外の措置では、中小企業事業主が30万円、中小企業以外が23万円です。機器等の導入を伴う場合は、導入経費(上限50万円)に60%(中小企業以外は45%)を乗じた額が上乗せされます。 このコースは、他の2コースと違って事前の計画認定が必須です。雇用管理整備計画書を、計画開始日の6か月前の日から3か月前の日までに都道府県支部へ提出し、認定を受けます。計画実施期間(1年以内)に措置を実施した後、6か月の確認期間を経て、2か月以内に支給申請を行う、という段取りです。支給対象被保険者は、1年以上継続雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者で、計画終了後も6か月以上継続して雇用される見込みの者が1人以上いることが条件になります。
高年齢者無期雇用転換コースの支給額と対象労働者
高年齢者無期雇用転換コースは、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用転換制度に基づいて無期雇用労働者に転換させた事業主を支援します。支給額は対象労働者1人につき40万円(中小企業事業主以外は30万円)で、1支給申請年度(4月〜3月)・1適用事業所あたり10人までという上限があります。 対象労働者の要件は細かく定められています。有期契約労働者としての雇用期間が転換日において通算1年以上5年以内であること、50歳以上かつ定年年齢未満であること、転換後に65歳(定年年齢が65歳を超える場合は当該年齢)以上まで雇用される見込みがあること、転換日において64歳以上でないこと、派遣労働者でないことなどです。労働契約法第18条に基づき労働者側の申込みによって無期転換した者や、転換日の前日から過去3年以内に同じ事業所で無期雇用労働者として雇用されたことがある者は対象外になります。 計画期間は2年から3年の間で設定し、無期雇用転換計画書を計画開始日の6か月前から3か月前までに都道府県支部へ提出します。
支給要件と申請窓口|共通の注意点
3コースに共通する支給要件として、①対象となる制度や措置を就業規則等で実施していること、②支給対象被保険者が要件を満たしていること、③高年齢者雇用管理に関する措置(職業能力開発訓練の実施、作業施設・方法の改善、健康管理・安全衛生の配慮、職域の拡大、知識・経験を活用できる配置・処遇の推進、賃金体系の見直し、勤務時間制度の弾力化のいずれか1つ以上)を実施していること、が求められます。 申請書等は、都道府県支部の高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)へ、持参・郵送または電子申請により提出します。支給要件や申請方法を詳しく説明した「支給申請の手引き」と申請様式は、JEEDのホームページ(高齢者雇用の支援→助成金)からダウンロードできます。審査の過程で提出書類の記載誤りに気づいても、原則として事業主都合による差し替えはできないため、提出前の確認を慎重に行うことが重要です。
まとめ|どのコースが自社に合うか
65歳超雇用推進助成金は、高年齢者の雇用環境整備という同じ目的のもとに、アプローチの異なる3コースを用意している制度です。定年の引上げや継続雇用制度の導入に取り組みたい場合は65歳超継続雇用促進コース、賃金制度や健康管理制度など雇用管理の仕組みそのものを整えたい場合は高年齢者評価制度等雇用管理改善コース、有期契約のパートタイマー等を無期雇用に転換したい場合は高年齢者無期雇用転換コースが、それぞれの入り口になります。 高年齢者評価制度等雇用管理改善コースと高年齢者無期雇用転換コースは、措置の実施前に計画認定を受ける必要があり、計画開始日の6か月前から準備を始める必要がある点を見落とさないようにしてください。自社がどのコースに当てはまるかを見極めるには、まず取り組みたい施策を一つに絞り、対象となる事業主・労働者の要件を確認したうえで、早めに都道府県支部(JEED)に相談しておくことをおすすめします。KANAEの検索からも、高年齢者雇用以外の人材確保・育成に関わる他の助成金を確認できます。
参考情報
65歳超雇用推進助成金 制度のご案内(令和8年度)|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 — 公式情報を見る
パンフレット・支給申請の手引き|65歳超雇用推進助成金|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 — 公式情報を見る
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